住宅面積20坪となると、平均的な一戸建てよりも狭いスペースとなります。そのため平屋の注文住宅を建てる際は、居住スペースや収納スペースの確保や採光・通風などに、より工夫が必要です。
この記事を読めば、20坪のプラン事例の特徴や費用目安、20坪で建てるメリットとデメリットがわかります。ぜひ理想的な平屋住宅を建てるためにお役立てください。
Contents
延床面積20坪の平屋の広さはどのくらい?
延床面積20坪で具体的な広さをイメージできない場合は、帖やメートルに換算すると良いでしょう。1坪は約2帖なので、20坪の平屋は40帖分となります。また、1坪は約3.3m2ですので、20坪×3.3m2=66m2です。この面積は、小・中学校の教室とほぼ同じだと考えるとわかりやすいでしょう。
20坪の平屋は1~2人であれば広々と使え、3~4人でも間取りや設計の工夫次第で快適に暮らせる広さです。一方、5人暮らしになると、生活に最低限必要なスペースしか確保できません。
間取りは、1~2人暮らしであれば、リビングを広く確保して1LDK~2LDKにするのが一般的です。家族3~4人であれば、各部屋を狭くして3LDK~4LDKも実現できます。間取りについては、後ほど実例を挙げて解説します。
素敵な暮らしを実現!20坪の平屋住宅の間取りプラン実例
ここからは間取り事例で20坪の平屋住宅の間取りを紹介します。平屋での家づくりのポイントが詰まっていますので、ぜひ参考にしてください。
【実例1】広々と暮らせる工夫が施された2DLKの間取り
2DLKのこの間取りは、個々に過ごす場所と家族が集まる場所をホール(廊下)でしっかり分けているのが特徴です。ホール(廊下)を設けた間取りは、20坪の面積では狭く感じられる可能性がありますが、この住宅はあらゆるところに広く見せる工夫があるため、暮らしやすさと開放感を両立しています。
下記にて特徴を6つ紹介します。
特徴①テラスで外と内がつながる空間
寝室横のテラスとリビング横のテラスの2つが設けられています。このため家の中が明るく、外とのつながりを自然に感じられるのが特徴です。
寝室横のテラスにはルーバー(羽根板をブラインドのように並べたもの)が取り付いています。人目を気にすることなく、少し外に出てタバコを吸ったり、外を見たりとリラックスできるでしょう。
また、リビング横のテラスは、内と外の境界線があいまいになり開放感をもたらす効果があります。リビングと一続きのように見えるため、11.1帖のリビングが面積以上に広々と感じられます。
特徴②リビングダイニングを広く見せる吹き抜け
2階部分がない平屋で吹き抜けにするには、傾斜のある勾配天井にして天井高を出すのが一般的です。こうすることでリビングダイニングに天井に高さが出て、空間が広くなります。
平屋の吹き抜けは開放感を出すとともに、空間に変化を生み出す効果もあります。また、天井裏に隠す梁をむき出しにしてナチュラル感を出したり、シーリングファンやライトを取り付けたりと、好みのインテリアにできるのも魅力です。
20坪の平屋では圧迫感が出やすいため、積極的に吹き抜けや勾配天井を検討してみてはいかがでしょうか。
特徴③区別あるプライベートと家族の空間
この家では、個人で過ごす部屋と家族が集うリビングダイニングがホール(廊下)でしっかり区分けされているのが特徴です。空間的にも防音的にもしっかり分けられているため、生活にメリハリが付けられそうです。
平屋はプライバシーを確保しにくいとよく言われますが、この間取りであれば心配はありません。例えば、在宅ワークをしている人や趣味の時間に没頭したい人がいる家族におすすめです。
特徴④収納力の高いパントリー
収納力が高い広めのパントリーが設けられているのも、この間取りの特徴です。一般的にパントリーは1帖以上あると使い勝手が良いとされていますが、この住宅では棚と納戸部分を含めると、4帖近くの広々としたスペースが確保されています。
これほどのスペースがあれば、20坪の平屋でも災害用の備蓄が十分可能です。また、食料や飲料、日用品などのストックにも余裕があるため、安いときに買い溜めするといった融通が利きます。その他、ホットプレートや手作りのリキュール瓶など、かさばるものをまとめて収納できて便利です。
特徴⑤効率が良い家事動線
キッチン~パントリー~ユーティリティテラス(UT)~洗面室・浴室と移動できる家事動線になっています。直線ルートで移動できるため、食事の用意をしつつ洗濯するなどの同時進行もやりやすいでしょう。また、洗面所から出ると目の前にテラスがあるため、そのまま洗濯物を干すことも可能です。
このように家事動線の良い間取りにしておくと、掃除・洗濯・料理などの効率が上がり、時短につながります。結果として、子育て世帯のように何かと忙しい暮らしにも余裕が生まれます。
特徴⑥採光・通風の良い間取り
平屋は採光と通風が課題になりやすい面があります。平屋の中心部は暗くなりがちですし、外からの視線を気にして窓をつくらないと空気が滞留してしまうでしょう。
この間取りでは、十分な採光を確保できるようにテラスにルーバーを設置したり、リビングに大きな窓を設けたり、キッチンや水回りなどに小窓を設けたりしています。また、これらの窓によって風の通り道ができ、室内の空気が入れ替わるようになっています。
20坪の平屋住宅の費用目安
坪単価の相場は40〜60万円ですので、20坪の平屋住宅の費用目安は800万円~1,200万円となります。ただし、この費用は建築費のみで、他に附帯工事費や諸費用がかかります。附帯工事費とは、地盤工事や外構工事、ガス工事、照明器具など建物以外の工事費用です。また、諸経費とは、登記代や保険料、地鎮祭、雑費などです。
家づくりのトータル費用の内訳は、平均的に建築費70%、附帯工事費20%、諸経費10%になるとされています。前述の建築費から逆算すると、以下のようになります。
・トータル費用=建築費÷0.7=約1,150万~1,710万円
・附帯工事費=トータル費用×0.2=約230万~342万円
・諸経費=トータル費用×0.1=約115万~171万円
上記の費用はあくまで目安です。土地の条件によっては解体工事や地盤改良工事費などがかかり、費用がアップする可能性があります。また、間取りの形や選ぶ建材などによっても費用が変わります。
したがって、見積もりの目安だけ押さえておいて、詳細はしっかりと工務店やハウスメーカーに確認しましょう。
20坪の平屋住宅を建てるメリット
20坪の平屋の魅力はどこにあるのでしょうか。ここではシニア層や子育て世帯などから支持される理由を交えながら、メリットを紹介します。
老後の住まいとして快適に暮らせる
老後の住まいとして、20坪の平屋住宅を選ぶ高齢者世帯が増えています。平屋は階段がなくワンフロアで生活を完結できるため、足腰が弱ったり、車イスを使ったりする場合にも移動が楽だからです。例えばLDKとお風呂、トイレを段差なく直結するバリアフリー住宅にすれば、移動の負担を最小限に抑えられるでしょう。
また、夫婦2人暮らしをする場合、20坪の平屋はコスパの良い住宅でもあります。ワンフロアでコンパクトなので冷暖房効率がよく、月々の光熱費が安く済みます。また、建物のメンテナンス費用が安く、マンションと違って家賃や管理費、修繕積立金などの負担もありません。
こうしたメリットから、マイホームを子ども世代に譲った50~60代以上の世帯が、マンションではなく20坪程度のコンパクトな平屋を選び、注文住宅を建てるケースが増えています。
マンションに比べて騒音などの心配がない
20坪の平屋住宅は延床面積で考えると、マンションも比較対象になるでしょう。しかし、マンションに住むとなると、隣人の騒音が気になりますし、自分たちも迷惑をかけていないか不安になるものです。例えば、隣人のホームパーティーの声がうるさかったり、あるいは自分の子どものバタバタ動く音が階下に響いていないか気になったりする場合があります。
しかし、平屋に住めばこうした心配はなくなり、自由に気兼ねなく暮らしていけるでしょう。さらにペットを飼ったり、庭でバーベキューを楽しんだりとライフスタイルの幅も広がります。
さらに注文住宅の場合、こだわりの外構・インテリアを追求したり、勾配天井や吹き抜けを設けたりと、理想の家づくりを追求できるのもメリットです。
家事動線の効率が良い
コンパクトな20坪の平屋は、設計次第で家事動線が効率的になります。2階、3階建てと違って上下の移動はありませんし、階段スペースで各部屋が分断されることもありません。
廊下を極力なくせば、20坪の平屋は大部屋を仕切ったように最短ルートで移動できる家事動線にできます。例えば、水回りとリビングに回遊動線を設けると、家事がスムーズになりますし、人の渋滞も起こりにくくなります。
こうした家事動線の効率の良さから、コンパクトな20坪の平屋は子育て世帯から人気です。
20坪の平屋を広く見せるコツ
世帯人数やライフスタイルにもよりますが、20坪の平屋住宅がやや手狭であるのは否めません。そこで広く見せる工夫が必要となります。
その一つが、水平な屋根に比べて開放感のある勾配天井や吹き抜けを取り入れることです。例えばリビングとキッチンで天井の高低差を出すと空間に変化が生まれます。また、構造の梁をそのまま活かす「梁見せ天井」にすると、広々とした印象になるうえに、ダイナミックさやナチュラル感が演出可能です。
2つ目のポイントは廊下を極力削り、居住スペースを確保することです。リビングから各部屋にアクセスできるような間取りにすれば、居住スペースを確保しながら回遊性の高い住宅になります。
3つ目は引き戸の採用です。引き戸は開き戸(ドア)に比べてデッドスペースが少なく、部屋を広く使えるのがメリットです。また引き戸は開閉時の体の移動が少ないため、平屋の注文住宅に多いバリアフリー住宅と相性が良い面があります。
20坪の平屋住宅を建てるデメリットと対策方法
20坪の平屋は戸建て住宅としては手狭の部類に入ります。それによってどのようなデメリットが生じてしまうのでしょうか。対策を交えて解説します。
収納が足りない
20坪の平屋の設計では、限られた広さゆえに収納スペースを削ってしまいがちです。しかし、収納が足りないと、後で収納ボックスを買い足すなどで部屋がごちゃごちゃしてしまったり、タンスを買い足して部屋が狭くなったりしてしまいます。
そうならないために、設計段階で今の持ち物・今後増えそうなものを洗い出しておきましょう。また、食料や日用品、災害用品などをどれくらいストックしたいかシミュレーションしておきます。
そのうえで、設計者に備え付けの収納スペースを設けられないか相談します。例えばキッチンの壁面収納、小上りの床下収納、テレビボードの棚など工夫次第で大容量のスペースが確保可能です。設計段階で要望を伝えておくと、収納スペースを設けてもらいやすくなります。
世帯人数が多い場合に狭く感じる
国土交通省は健康で文化的な生活に必要な最低限の住宅面積である「最低居住面積水準」を設けています。また、豊かで多様なライフスタイルに対応できる住宅面積である「誘導居住面積水準」を都心部とそれ以外で設けています(下表参照)。
1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | |
最低居住面積水準 | 25m2 | 30m2 | 40m2(35m2) | 50m2(45m2) | 60m2(55m2) |
誘導居住面積水準(都市型) | 40m2 | 55m2 | 75m2(65m2) | 95m2(85m2) | 115m2(105m2) |
誘導居住面積水準(一般形) | 55m2 | 75m2 | 100m2(87.5m2) | 125m2(112.5m2) | 150m2(137.5m2) |
※カッコ内は3~5歳児が1名いる場合
上記の数値をみると、20坪の平屋の面積は66m2ですので、4~5人世帯では狭く感じる可能性が高いといえるでしょう。住宅面積を広げるのが難しい場合は、圧迫感が出ないように窓や吹き抜けを設けたり、廊下を極力設けず居住空間を増やしたりするなどの工夫が必要です。
20坪でも工夫次第で快適な暮らしを実現できる!
20坪の平屋住宅は、同じ敷地面積の2階建てに比べると、居住スペースの確保や採光・通風などにより工夫が必要です。平屋はシンプルな住宅というイメージがあり、自分でも間取りや収納スペースなどを考えられそうに思えますが、実はプロの技術が必要です。
20坪の平屋住宅を検討している際は、ぜひ専門家にご相談ください。フリーダムアーキテクツは土地探しから細かな注文設計のご相談まで幅広く対応できます。
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