リビングとは、その家の中心的な役割を果たす大切な場所になります。そのため、新築の家を建てるときは広々としたリビングにしたいと思うもの。しかし実際には、全体の敷地面積の関係や予算の都合で、思うような広さにできない場合もあります。
そこで考えたいのは、リビングはどのくらいの広さが適切であるかということです。ただ広いだけでは意味がなく、家族にとって居心地のよい空間にはなりません。
そこで今回は、家族の人数別にみる最適なリビングの広さや、注文住宅を建てた人がどのくらいの広さのリビングにしたかのアンケート結果などをご紹介します。住宅におけるリビングの適切な広さについて、じっくり考えていきましょう。
Contents
なぜリビングが必要?広さを決める前に考えておきたいこと
料理を作るための台所、汗を流すためのお風呂場など、それぞれの部屋にはそれぞれの役割があり、通常その部屋はその役割に適した作りになっています。
一方、リビングというとハッキリとした役割がないようにも思えますが、家族全員がゆったりと過ごすための場所、家族のコミュニケーションを図る場所です。リビングの広さを決める際は、家族みんながリラックスするにはどのくらいが適しているのかを検討していきましょう。
まず、家族は何人いるのか、家の敷地面積はどのくらいなのか?これはリビングの広さを決めるうえで重要なポイントになります。家族の人数を考慮しないでリビングの広さを決めてしまうと、想像していたよりも手狭になってしまったということにもなりかねません。また、必要以上にリビングの面積を取りすぎて、ほかのスペースにシワ寄せがいってしまうことも考えられます。
そのほか、リビングに置く家具の数も考慮に入れましょう。家具を配置したときに十分なスペースがあるかどうかで、リビングの広さを検討するのがおすすめです。
広々としたリビングのほうが良い?
広いリビングによってマイホームの満足感が高まる人は多くいます。その反面、イメージと違って後悔してしまう人もいるようです。広いリビングのメリット・デメリットの両面について紹介します。
広いリビングのメリット
広いリビングのメリットは、リラックスできる空間を十分に確保できることです。すれ違ったり座ったりしたときに家族同士でぶつかるようだと、そのリビングは狭いと言わざるを得ません。動くたびに相手とぶつかるので、ストレスが溜まります。
広いほうが採光と通風を確保しやすい面もあります。家族でゆったり過ごす場所ですから、部屋に差し込む光の量はとても重要です。常に日陰の部屋は、梅雨時は湿気が溜まりやすく冬は寒いです。暗い部屋は心理的にも暗くなる作用が働くため、家族団らんの部屋には適していません。
さらには、広くて明るいリビングなら精神的なメリットを得られます。明るくて楽しいリビングは子どもの滞在時間が長くなり、親子のコミュニケーションを図りやすくなる傾向にあります。特に小さいうちはリビングにいるのが好きな子が多く、リビングで宿題をする場合も多いようです。
広いリビングのデメリット
広いリビングにはデメリットもあります。まず、光熱費がかさむことです。特に、吹き抜けやリビングイン階段のように縦に空間がある場合や、断熱性が下がる大開口の窓などを設ける場合は要注意しておきましょう。
また、掃除が大変になったと感じる人もいます。掃除機のコードは約5mですので、細長い直線型リビングや20帖ほどの広さの場合、コンセントの位置によっては差し替えが必要です。拭き掃除やワックスがけが面倒になる人も少なくありません。
広いリビングによって他の居住空間が狭くなる場合もあります。例えば、延床面積100m2くらいなら20帖ほどのLDKもつくれますが、その場合、3~4LDKの実現は難しくなってしまうのです。トータルバランスを考えてリビングの広さを決めていきましょう。
平均的なリビングの広さは16帖~20帖
注文住宅の平均的なLDKの広さは、一般的な4人家族では16帖~20帖が目安です。この広さがあれば、リビングを5帖~10帖、キッチンを5帖、ダイニング5帖をいう間取りを実現できます。
実際、以下のような声が多く聞かれます。
・二世帯住宅なので、親・子・孫が一堂に集まることができるように12帖から15帖くらいは欲しい。(40代/正社員/男性)
・15~20帖が理想です。ソファーも置きつつ、冬はこたつも置きたいので、そのくらいの広さが必要かと。(40代/パート・アルバイト/女性)
・18~20帖ほしいです。子どもたちが友達を連れて楽器の練習をしているので、ハウスコンサートができるといいなと思いました。理想の理想ですが。(40代/専業主婦(主夫)/女性)
一方、もっとリビングのほうが家族の人数や暮らしにフィットする場合もあります。
・夫婦ふたり暮らしで10帖ほどあれば良い。欲しいものにすぐ手が届くし掃除も行き届くから。(20代/正社員/女性)
・現在二人暮らしなので、12帖くらいあれば十分。でも、家族が今より増えたら、20帖は必要だと思う。(20代/無職/女性)
つまり、人によって広いリビングの定義はさまざまで、闇雲に広いリビングにすれば良いというわけではありません。平均的なLDKは16帖~20帖であることを押さえつつ、快適な広さを探していくとよいでしょう。
【質問】
リビングは何帖ほしいと思いますか?
【回答結果】
フリー回答
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月06日~2017年06月12日
有効回答数:150サンプル
リビングの広さを決めるポイント
リビングの広さを決めるときは、どのような要素を考慮すればよいのでしょうか。ここでは家族の人数、LDKの形、キッチンの形、家具・家電の大きさと数に分けて解説します。
家族の人数
家族の人数は広さを決める最も重要なポイントです。家族の人数によって快適に過ごすためのスペースは変わりますし、家具や収納、家電などの必要面積も変わります。
平均的なリビングの広さを家族人数別にまとめたのが以下の表です。広々としたリビングにしたい場合は、これらより広いスペースを確保することになります。
家族の人数 | 平均的な広さ |
2人 | 8帖~12帖 |
3人 | 12帖~16帖 |
4人 | 16帖~20帖 |
家族の人数を考える際は、子どもが増えたり、高齢になった親と同居したりといった将来の変化も含めて検討しておくとよいでしょう。
LDKの形
LDKの形は大きく分けて直線型(I型)、L字型、セパレート型の3つがあります。
タイプ | 概要 | 特徴 |
直線型(I型) | ・L、D、Kが一直線に並ぶ形 | ・視界が抜けるため広々と感じる |
L字型 | ・L型で構成される形 | ・食事スペースとくつろぎスペースをゆるやかに区切れる |
セパレート型 | ・LとDKが廊下幅くらいで連結されている形・LとDKの接面をずらした形が一般的 | ・食事スペースとくつろぎスペースをしっかり区切れる・ゲストが来たときにキッチンを隠したい場合に向く |
一般的な延床面積の場合は広々と感じやすい直線型(I型)が好まれ、延床面積に余裕がある場合はL字型、セパレート型も検討されます。
キッチンの形
キッチンはスペースを多く取るため、形状を検討しておく必要があります。主なキッチンの形と特徴は次のとおりです。
タイプ | 概要 | 広さの目安 |
アイランドキッチン | ・全方向に通路がある独立型キッチン | 6帖~8帖 |
ペニンシュラキッチン | ・アイランドキッチンの左右どちらかを壁に付けたタイプ | 4.5帖~6帖 |
Ⅱ型 | ・壁付けのコンロと対面型のシンクの2列で構成されるタイプ | 4.5帖~5帖 |
L型 | ・壁に沿ってL型で設置するタイプ | 4.5帖~5帖 |
Ⅰ型 | ・壁沿いに1列に配置するタイプ | 4.5帖~5帖 |
上記はキッチンのみの面積です。アイランドキッチンやペニンシュラキッチンは開放感を重視して吊戸棚を付けないことが多く、別途収納スペースが必要になります。また、食器棚やパントリー(食糧庫)などのスペースもキッチンに含まれるため、併せて検討しておきましょう。
家具・家電の大きさと数
家づくりの段階で設置する家具、家電を具体的にイメージしておくことが大切です。これから新しく買う物、今使っている物などをリストアップして必要なスペースを計算しておきましょう。
具体的には以下のような物が挙げられます。
・ダイニングテーブル、チェア
・ソファー
・テレビ、AVボード
・ローテーブル
・こたつ
・収納棚
・家電類(空気清浄機、間接照明、扇風機)
・観葉植物
リビングを広く見せるコツ
土地の広さや予算によっては必ず16帖~20帖確保できるわけではありません。しかし、平均より狭いリビングでも広く見せる方法はいろいろあります。
一例を挙げると以下のとおりです。
・背の高い家具を避ける
・収納スペースを確保してリビングに物を置かない
・薄い色を基調とした壁紙、床材で統一し、視覚効果で広々とした空間を演出
・リビング続きの中庭をつくり、視界の抜けをつくる
・吹き抜けやリビングイン階段で縦方向の開放感を出す
・間接照明で壁や天井を照らして奥行を出す
逆にこれらの工夫がないと、たとえ広い面積のリビングでも狭く感じられてしまいます。展示場やサンプルなどで実物を見て、取り入れられるアイデアがないか探してみるとよいでしょう。
注文住宅でつくる!リビングの間取り例
ここからは先に紹介したリビングを広く見えるコツを、実際の施工事例で見ていきましょう。
縦長でも開放感を得られるリビング
縦長リビングは工夫しないと狭く感じてしまう場合がありますが、こちらの家のリビングは、中庭をフラットにつなげることで空間の広がりを出しました。
大開口窓と、リビングの天井を一段高くして設けた高窓(ハイサイドライト)で中庭が見えることで開放感を出し、なおかつ十分な採光も確保しています。
中庭と一体で広さを感じるリビング
こちらの家は中庭に面したL型のLDKにすることで、あたかも正方形の広々としたリビングのような空間を演出しています。さらに、リビングイン階段で縦方向の抜け感も出しました。重量感が出ることもあるリビングイン階段はスケルトンにして軽やかな印象に。
また、リビングイン階段の手すりとダイニングテーブル、キッチンを黒色で統一したインテリアによって空間がひとつながりとなり、視覚効果で広く感じられるようにしています。
スペースを上手に活用したリビング
こちらの家はL字ソファーを壁に寄せ、中庭に面した窓に向けて配置。開口窓でつながった中庭を見ながらくつろぐ形になるため、常に広々とした感覚を味わえます。
また、リビングイン階段で廊下スペースを節約しながら、2階へのつながりによって縦方向の広がりも出しました。このような配置のリビングイン階段は、必要に応じて、収納スペースやスタディスペースとして活用できるのもメリットです。
リビングは他の部屋とのバランスも大切
リビングの広さを考えるうえでのポイントは、リビングが持つ役割にあっているか、過ごしやすいリビングかどうか、その家族の人数にあった広さかどうかの3つです。この3つをクリアできれば、その家族にとって居心地の良いリビングとなることでしょう。
そして忘れてはならないのが、他の部屋とのバランスです。リビングを広くしようとするあまり、他の部屋の広さが不十分になってしまえば、家全体の住みよさは大きく下がってしまいます。リビングの間取りを考える際にはリビング単体で考えるのではなく、家全体とのバランスを意識して設計していきましょう。
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