
CASE637 『Assemble』
車が好きな人が家を建てる場合、愛車を傷や汚れから守り、より身近に感じられるという意味でインナーガレージに憧れる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、インナーガレージのメリットやデメリット、間取りづくりのポイントや建築実例を紹介します。家を建てる予定があり、愛車をできるだけ長く良い状態で保ちたいからインナーガレージが欲しいという人はぜひ参考にしてください。
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目次
インナーガレージとは?

CASE639 Wall Side
インナーガレージとは住宅の一部に組み込まれたガレージのことで、ビルトインガレージもしくはガレージハウスとも呼ばれています。
家に車を停めるためには屋外に駐車スペースを設けたり、カーポートを付けたりするのが一般的です。しかし、インナーガレージは「家の中に車を置く」のに近いため、セキュリティ性・プライバシー性の高さから人気が集まっています。
たとえば、家の外に車を停めていたら、通行人にいたずらをされるなどのトラブルを完全には避けられません。しかし、インナーガレージであればこれらのトラブルを避けられます。

インナーガレージのメリット

CASE627 HOUSE . GARAGE HOUSE
インナーガレージには次のメリットがあるため、詳しく解説します。
・狭小地でも駐車スペースが確保できる
・傷や汚れから車を守れる
・雨に濡れずに乗り降りできる
・室内から愛車を眺められる
・好きなときに車のメンテナンスができる
・駐車場以外にも多目的に利用できる
狭小地でも駐車スペースが確保できる
1つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「狭小地でも駐車スペースが確保できる」ことです。インナーガレージを作れば狭小地でも駐車スペースが確保できるため、別に駐車場を契約する必要はありません。歩く手間が省けるうえに、駐車場代を払うこともないため長期的に見れば節約につながります。
なお、狭小地にインナーガレージがある家を建てたい場合は、1階を駐車スペースとして確保し、2階・3階を居住スペースにする形が一般的です。
傷や汚れから車を守れる
2つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「傷や汚れから車を守れる」ことです。インナーガレージは「家の中に車を置く」状態に近いため、雨や紫外線の影響が避けられることから汚れや傷から車を守ることができます。
オープン外構にして屋外に駐車場を設けるのは、通行人のカバンや傘が当たる、イタズラされるなどの理由により傷がつけられる可能性もあるため注意しなくてはいけません。インナーガレージではシャッターで家の中と外が遮断されるため、これらのリスクも避けられるという安心感があります。
雨に濡れずに乗り降りできる
3つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「雨に濡れずに乗り降りできる」ことです。
インナーガレージであれば、家の中から車までの距離が近いことから、乗り降りの際に雨に濡れることはありません。外に駐車場を設けた場合、荷物が多くて傘が差せないなど乗り降りの際に雨に濡れることはあり得ます。しかし、インナーガレージであればそのようなストレスとは無縁です。
さらに、車に乗る際も小さな子どもが道路に飛び出すことがなくなるため、安全の面からも非常に優れています。
室内から愛車を眺められる
4つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「室内から愛車を眺められる」ことです。車が好きな人であれば「いつでも好きな時に愛車を眺めたい」と思うこともあるでしょう。インナーガレージがあれば、家の中にいてもいつでも愛車を眺められます。
リビングや書斎など多くの時間を過ごす部屋とインナーガレージを隣接させ、壁面をガラスにすれば「愛車を眺めながら談笑」という生活も可能です。
好きなときに車のメンテナンスができる
5つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「好きな時に車のメンテナンスができる」ことです。車のメンテナンスには作業音が伴ううえに、ある程度明るくしないと作業に差し支えます。そのため、深夜や早朝にやるのは音や明るさの面で近所迷惑になりかねません。
また、外に駐車スペースがある場合、雨など天候が悪い日は車のメンテナンス自体が難しい可能性もあります。しかし、インナーガレージであれば天候に左右されることなく、深夜や早朝など好きな時間に車のメンテナンスをすることが可能です。
駐車場以外にも多目的に利用できる
6つ目のインナーガレージのメリットとして挙げられるのは「駐車場以外にも多目的に利用できる」ことです。インナーガレージは駐車場としてのみならず、趣味の部屋や子どもの遊び場としても活用できます。将来的に、何らかの理由で車を手放したとしても、他の目的でインナーガレージを使い続けることは十分に可能です。
また、シャッターを閉めればプライベートな空間になるため子どもが飛び出すことはありません。

インナーガレージのデメリット

インナーガレージにはメリットがある一方、以下のデメリットもあるため注意が必要です。
・費用が高くなる
・間取りの自由度が下がる
・建物の強度を高める必要がある
・排気ガスのにおいや音が気になることがある
・将来リフォームがしにくい
費用が高くなる
1つ目のインナーガレージのデメリットとして挙げられるのは「費用が高くなる」ことです。地域や広さ、発注先の住宅会社・建築事務所によっても異なるため一概には言えませんが、数百万円の費用がかかることもあります。屋外に駐車場を設けるより建築コストがかかるため、費用対効果を考えて設置するかを検討しましょう。
また、インナーガレージは屋外駐車場と異なり、固定資産税の対象になるという意味でも費用がかります。
間取りの自由度が下がる
2つ目のインナーガレージのデメリットとして挙げられるのは「間取りの自由度が下がる」ことです。居住スペースが少なくなるため、間取りの自由度が下がる可能性があります。特に、1階の大部分がガレージになる場合は、2階以上が居住スペースになるため注意しなくてはいけません。
ただし、完全自由設計の設計事務所に依頼すれば、工夫を凝らした間取りが可能になります。メリットとデメリットを踏まえ、家族で話し合って検討しましょう。
建物の強度を高める必要がある
3つ目のインナーガレージのデメリットとして挙げられるのは「建物の強度を高める必要がある」ことです。建物は開口部分が大きいほど強度を高めなくてはいけません。インナーガレージを設けた場合、建物としての開口部分は大きくなるため、強度を高める必要が出てきます。
耐震性の高い構造にしたり、適宜耐震壁を設けるなどの対策が必要になるため、インナーガレージの実績が豊富な設計事務所に依頼すると安心でしょう。
排気ガスのにおいや音が気になることがある
4つ目のインナーガレージのデメリットとして挙げられるのは「排気ガスのにおいや音が気になることがある」ことです。インナーガレージは建物内にあるため、排気ガスのにおいや音が気になるかもしれません。対策として、換気性能を高め、防音の壁を設置することが挙げられます。
また、ガレージの深夜や早朝にシャッター音が響くと近隣に迷惑がかかる可能性があるため、音が静かなタイプを選ぶのも選択肢の1つです。
将来リフォームがしにくい
5つ目のインナーガレージのデメリットとして「将来リフォームがしにくい」ことが挙げられます。たとえば、車が増えた場合、屋外駐車場であれば、床を削って駐車スペースを増やすのも可能です。
しかし、インナーガレージの場合は建物そのものを作り変えないと置ける車の台数は増やせません。臨機応変にリフォームができるものではない以上、将来の車の台数を考えて計画をしておくと良いでしょう。

インナーガレージにかかる費用

インナーガレージにかかる費用は、新築の場合、坪単価50〜80万円が相場となっています。仮に、車が2台入るインナーガレージを作りたい場合は、8~10坪程度必要になるため400万〜800万円がかかると考えましょう。車が2台ある場合は、普段使いの車については別に駐車場を借り、1台のみをインナーガレージに入れるという方法も考えられます。
いずれにしても数百万円はかかる以上、決して安くはありません。相応の費用をかけてでもインナーガレージを作るべきか、家族で話し合っておくのも重要です。

インナーガレージの間取りづくりのポイント

インナーガレージがある家を作る際の間取りづくりのポイントとして、以下の3点について解説します。
・必要な駐車スペースを確保する
・スムーズな動線を計画する
・静かに過ごしたい部屋とガレージを近づけない
必要な駐車スペースを確保する
インナーガレージの間取りを考えるときは、必要な駐車スペースを確保することが重要です。前述したように、インナーガレージは屋外の駐車スペースとは異なり、簡単にはリフォームできません。将来車の台数自体が増える、もしくは大きい車に買い替える可能性も考えたうえで、必要な駐車スペースを確保しましょう。
特に輸入車は全長も全幅も国産車より大きいことが多くなっています。そのため、輸入車を購入する、もしくは買い替える予定があるなら、可能な限り大きめのスペースを用意しておくのをおすすめします。
スムーズな動線を計画する
インナーガレージを作ったことが理由で生活しづらくならないよう、ビルトインガレージから玄関、そして室内へのスムーズな動線を計画することも重要です。
たとえば、買い物から帰ってきて荷物を持ったまま玄関へ行き、そのままキッチンへ直行できる間取りであれば生活がしやすくなります。玄関を通らずにパントリー(貯蔵庫)に行ける動線でも問題ありません。
「車から降りたあとどうしたいか」によっても望ましい動線は異なるため、建築事務所の担当者と相談してみましょう。
静かに過ごしたい部屋とガレージを近づけない
インナーガレージがある家の間取りを考える時は、寝室や仕事部屋、子どもの勉強部屋など静かに過ごしたい部屋と離すことも重要なポイントです。
車を駐車したり、メンテナンス作業をしたりする場所でもある以上、インナーガレージからエンジン音や作業音が室内に漏れる可能性は十分にあります。毎日のことともなると自分や家族がストレスに感じてしまうため注意しなくてはいけません。
パントリーやキッチンなど、静かであることがそれほど求められない部屋に隣接させたほうが、ストレスは軽減されます。

インナーガレージの間取り例
インナーガレージの間取り例を4つ紹介します。何を重視するかによって望ましい間取りは異なるため、考える際の参考にしてください。
玄関、キッチンまでの動線がスムーズな間取り


玄関、キッチンまでの導線がスムーズな実例の間取り図を紹介します。ガレージと玄関が扉1枚隔ててつながっているため、車から降りたらすぐに玄関に入ることが可能です。
また、ガレージからLDKには玄関を通ってすぐに移動できる構造になっています。スーパーで買い物をしてきた場合でも、食材や生活雑貨をすぐに冷蔵庫やパントリーに収納できるという意味で非常に利便性の高い間取りと言えます。
2階に広々としたリビングを設けた間取り


広いリビングを確保しつつ、インナーガレージのある家を建てることは可能です。この実例の間取り図では、1階にインナーガレージを、2階に広いリビングやお風呂、お手洗いなどの水回りが設けられています。
なお、1階に個室が2つ設けられていますが、玄関から続く廊下や納戸で区切られているため、音やにおいが直接漏れてくることはありません。狭小地にインナーガレージがある家を建てたい場合はぜひ参考にしてください。
コンパクトで暮らしやすい1台分のインナーガレージのある間取り


広くない土地にインナーガレージがある家を建てたい場合に参考にしたい実例の間取り図をもう1つ紹介します。この家でも、2階にLDKやお風呂、洗面所などの水回りを設け、1階にインナーガレージを設けました。1階に2つある個室のうち、1つはインナーガレージと隣接しているため、車を眺めたい場合はあえてガラス張りにするのも選択肢になります。
水回りを集約し家事動線もスムーズな間取り


家事動線をスムーズにしたいなら、できるだけ水回りを1ヵ所に集約させるのが望ましいと言えます。この実例の間取り図では、1階にインナーガレージと寝室等の個室、2階にお風呂、お手洗い、LDKなどの水回りを集約させました。
また、1階の個室3部屋のうち、2部屋は玄関や廊下、階段で隔てられています。これらの部屋を寝室など静かに過ごしたい部屋に当てれば、音やにおいをあまり気にする必要はありません。

インナーガレージの建築実例
ここまでの内容を踏まえて、これまでフリーダムアーキテクツが手掛けてきた家のうち、インナーガレージを設けたものの建築実例を紹介します。インナーガレージがある家を計画中であればぜひ参考にしてください。
リビングから中庭を介して愛車を眺められるインナーガレージ

CASE301 ガレージハウス
大好きな愛車をいつも眺めたいという人にとっては夢のような家を紹介します。リビングに中庭を挟んで隣接したガレージは、壁面をガラス張りにすることでいつでも中が見渡せる状態になりました。
また、壁とフローリングが白でまとめられているため、晴れた日の昼間であれば、自然光がふんだんに差し込み、照明を付けずに過ごせます。夜間はライトアップすることで、ガレージがギャラリーのようなおしゃれな空間になるのも魅力です。
プライバシー性を高めたゆとりのあるインナーガレージ

CASE739 like living in the sky
この実例では、インナーガレージに車を最大3台駐車できるうえに、夜間でも作業できるだけの環境を整えました。ガレージからつながった収納スペースや隣接するロフト付きの書斎など、スタイリッシュかつ家としての機能性を高めた作りも特徴的です。
プライバシー性を高めるためあえて玄関は正面から隠されていますが、内部にはスリット窓を設けるなど工夫を凝らしており、圧迫感のない家に仕上がっています。
壁面にカヌーを吊り下げた趣味を楽しむインナーガレージ

CASE511 高台のガレージハウス
インナーガレージを趣味の空間にしたい場合に参考になる実例を紹介します。この家にあるインナーガレージは、カヌーや自転車が壁にかかっており、さながら「秘密基地」のような空間になりました。
一方で、玄関やリビングなどの居住空間は白や木目を基調にまとめ、シンプルかつ温かみのある空間に仕上がっています。また、リビングにはホビースペース、庭には家庭菜園が設けられるなど、趣味を満喫できる家になりました。
都心の狭小地で叶えた愛車を眺めて談笑できるインナーガレージ

CASE617 Casa di Nero
都心の狭小地であっても、インナーガレージのある家を作ることはできます。「Casa di Nero(黒い家)」と名付けられたこの家は、文字通り黒い外観が特徴です。インナーガレージの壁を鏡にし、空間を広く見せる工夫を凝らしました。
また、土間のエントランスからガラス扉越しにガレージが望める仕様になっています。家の内装もグレーで統一し、シックな雰囲気のホテルのような家に仕上がりました。

目的に合わせてインナーガレージの間取りを考えよう
インナーガレージを設置する際は、まず「何のために作るのか」という目的を考えましょう。また、インナーガレージを作ったがために暮らしにくい家になってしまっては本末転倒です。家全体としての暮らしやすさを考えたうえで、経験の豊富な建築事務所に相談してみましょう。
フリーダムアーキテクツではこれまでにもインナーガレージのある家をたくさん手掛けてきました。ぜひ作品集を見て考えるヒントにしてください。
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インナーガレージの間取りに関するよくある質問

ここまでの内容ではあまり取り上げていないものの、疑問に思う人が多いトピックを「よくある質問」形式で紹介します。
インナーガレージとビルトインガレージの違いは?
インナーガレージとビルトインガレージの違いはほとんどなく、同じ意味合いで使われることが多いのが実情です。
ただし、ビルトインガレージは家の一部として設計されているのに対して、インナーガレージは家の内部に組み込まれているとして、分けて呼ぶこともあります。基本的にはどちらも「家の中に設けられた車を停められる場所」であると考えて構いません。
インナーガレージは建ぺい率に影響する?
結論からいうと、インナーガレージを作ることで、建ぺい率に影響することはあり得ません。
前提として、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)は、建物全体を上から見たときの最大面積=建築面積を基準に計算します。建物の中にどのような部屋があるのかは考慮されません。つまり、建物の中にあるのが一般的な部屋ではなくインナーガレージであったとしても、建築面積は同じです。
そのため、建ぺい率も変わらないことから、影響しないと言えます。
インナーガレージの湿気対策はどうすればいい?
インナーガレージの湿気対策には換気扇や除湿乾燥機を設置するのが効果的です。湿気が溜まると車や部品を結露させてしまう恐れがあるため、換気扇や除湿乾燥機で湿気を取る必要が出てきます。換気扇を設置するのは、排気ガスによる一酸化炭素中毒を防ぐ意味でも重要です。
また、インナーガレージはある程度密閉された空間でもあるため、外気の影響を受けやすい点に注意が必要です。作業をしやすくするとともに、熱中症などの事故を防ぐためにはエアコンも設置するのが望ましいと言えます。
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この記事を書いた人

FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。