
50代、60代は人生のターニングポイントとも言える年代です。このタイミングで、生活の変化に伴い家の購入を検討する人が増えてきます。シニア層から、終の住処として根強い支持を受けているのが平屋です。階段の昇降がないためバリアフリー設計にしやすいことなどが人気の理由となっています。
今回は「老後の快適な生活のための平屋」をテーマに、どんなメリットがあるかなど、知っておきたいポイントをご紹介。後半に、当社に家づくりをお任せいただいたお客様の建築実例も紹介します。ぜひ参考にしてください。
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目次
シニア夫婦二人で暮らすのに必要な広さとは?

シニア夫婦二人で暮らすのに必要な広さは9.1坪以上、快適に暮らすのであれば22坪以上とされています。平屋に関する情報を見る前に、夫婦二人で生活する場合、家にどの程度の広さが必要なのか確認しておくことも重要です。国の基準によると、最低30㎡以上で、快適に生活するのであれば55~75㎡程度が目安となっています。
国土交通省は、世帯人数ごとに豊かな住生活の実現するための住宅の面積水準(誘導面積水準)を、ライフスタイルごとに以下のように設けています。
面積 | 坪数換算 | |
---|---|---|
最低水準 | 30㎡ | 約9.1坪 |
都市型 | 55㎡ | 約16.6坪 |
一般型 | 75㎡ | 約22.7坪 |
出典:資料8-3 住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準|国土交通省
おおむね22坪以上あれば二人暮らしがしやすい広さだといえます。なお、この数値は「床面積」の基準です。土地の購入を検討するにあたっては、建ぺい率の規制に従う必要があるため、もう少し広さが必要になります。

シニア夫婦が平屋を建てるメリット

シニア夫婦の生活拠点として、平屋には以下のように様々なメリットがあります。
・ワンフロアで生活できるため動線がコンパクト
・夫婦間のコミュニケーションが取りやすい
・階段からの転落事故がなく足腰に負担がかかりにくい
・室内の温度差が小さくなりやすい
・バリアフリー住宅にしやすい
・災害に強く、避難しやすい
・修繕費用を抑えられる
それぞれ詳しく見てみましょう。
ワンフロアで生活できるため動線がコンパクト
平屋のメリットの一つは、生活がワンフロアで完結するため、生活動線や家事動線が短く移動距離が少なく済むことです。
例えば2階建ての住宅で洗濯をする場合、1階の洗濯機で洗ってから2階のバルコニーに洗濯物を運んで干す、というスタイルの家庭も多いです。上下の移動がない平屋であれば、重い洗濯物を持って移動する負担は小さくなります。
夫婦間のコミュニケーションが取りやすい
夫婦間のコミュニケーションを取りやすいのも平屋の魅力です。平屋は1階しか存在しないため、ワンフロアに全ての部屋が集まるようになっています。そのため、夫婦間のコミュニケーションが取りやすくなります。
また、物音や気配が伝わりやすく、パートナーに何かあった時もすぐに気付けます。高齢になると、転倒したり急に倒れたりするリスクも増えてくるため、お互いの様子が分かる平屋は夫婦が助け合って暮らすために向いているといえるでしょう。
階段からの転落事故がなく足腰に負担がかかりにくい
平屋には階段がないため、階段昇降中に発生する事故のリスクをなくし、足腰への負担を軽減できます。
年を重ねると運動能力に不安が出てくることも多く、階段を昇っている最中の事故も多くなります。高齢者の転倒事故は大怪我につながることも多く、時には入院するほど重症化することもあるため注意が必要です。
事故にはならなくても、日々の階段の移動が原因で、膝や股関節などに痛みが出ることも考えられるでしょう。階段がなければこうしたリスクを抑えられ、掃除をする必要もなくなります。年を重ね身体能力に不安が出てきた場合も、快適に暮らしやすいでしょう。
室内の温度差が小さくなりやすい
二人暮らしの平屋は住人が少ない分コンパクトな設計になることが多く、室内の温度差が小さくなりやすいこともメリットでしょう。
空気は温度が高いほど上昇し、冷たいほど下に集まる性質があります。2階があると、暖かい空気が上に逃げやすくなるため、1階が寒く感じることも。温度差によって引き起こされるのが「ヒートショック現象」です。血圧の乱高下が発生し、脳内出血や心筋梗塞など、重篤な疾患の引き金になります。
コンパクトな平屋であれば家の中の高低差が少なく、各部屋の温度も均一に保てるため、リスク軽減につながります。
バリアフリー住宅にしやすい
バリアフリー住宅にしやすいのも、平屋の大きなメリットです。家をバリアフリー仕様にする場合、ネックになるのが2階以上のフロアです。階段に手すりをつけたり、踏み板を滑りにくくするなど安全性を高めることは可能ですが、「結局1階だけで生活するようになってしまった」というケースも少なくありません。ホームエレベーターを設置することも可能ですが、相応に費用がかかります。
平屋であれば、もともと1階しかないことからバリアフリーリフォームも比較的容易です。費用面でも2階建て、3階建てより安くなる傾向にあります。
災害に強く、避難しやすい
比較的災害に強いのも、平屋のメリットでしょう。平屋は、2階建て以上の住宅と比べると構造的に安定しているという特徴があります。2階部分を支える必要がないため、壁や柱などの構造体の負担が小さいのです。仮に地震が来た場合も倒壊しにくく、台風の横風などにも強くなります。
避難時も、1階からすぐに外へ出ることができます。災害を想定して平屋を建てるのであれば、ドアが開かなくなっても共有スペースの窓から直接外に出られるよう、設計しておいても良いでしょう。
修繕費用を抑えられる
平屋は、2階建て以上の住宅と比べて修繕費用が安い傾向にあります。家は購入して終わりではなく、快適に生活するために定期的に修繕が必要になります。屋根や外壁の修繕、塗り替えなどが代表例でしょう。
平屋は一般的に2階建てより背が低く、修繕作業の際に足場が必要ないか、低く済みます。その分メンテナンスの費用が抑えられるのです。

シニア夫婦が平屋を建てるデメリット

家は一生物。平屋を検討するのであれば、メリットだけでなくデメリットも知っておきましょう。懸念材料としては、一般的に以下が挙げられます。
・利便性の高い土地が見つかりにくい
・建築コストが高くなりやすい
・周囲の建物が高いと採光が確保できないことがある
・防犯性を高める必要がある
・水害の際に垂直避難ができない
各項目を詳しく紹介します。
利便性の高い土地が見つかりにくい
シニア夫婦の平屋向けの土地は、一般的に需要が高く、利便性の高いエリアでは土地が見つかりにくいです。時間がかかることを前提に、早めに土地探しを始めるのが良いでしょう。
老後に運転をやめることを考えると、公共交通機関が利用しやすくある程度便利なエリアが望ましいです。しかし、前述した国土交通省の基準である「床面積22坪」を実現するなら、建ぺい率60〜80%の場合、28~38坪程度の土地が必要です。この広さの土地は、サイズと価格のバランスから需要が高く、良い条件のものから売れてしまいます。
既に土地がある場合は良いのですが、そうでないなら日頃から不動産サイトで情報収集をしたり、不動産会社に土地探しを依頼しておくことをおすすめします。設計会社によっては土地探しから依頼できることもあるため、早めに相談して「建てたい家」から逆算して探してもらうことも検討してみてください。
建築コストが高くなりやすい
同じ延べ床面積の2階建てと比較すると、平屋はやや建築コストが高くなる傾向にあります。そのため、建築費用と土地の購入費用を多めに確保しておくことをおすすめします。
建築コストが高くなる理由の1つが、2階建てと比べて基礎と屋根の面積の割合が高くなるからです。土地の広さも相応に必要になるため、取得価格が高くなりやすいことも一因です。
初期費用が高くなる反面、前述のリフォームのしやすさやメンテナンス費用の安さ、土地が広い分資産価値が高いなど、長い目で見るとコストダウンにつながるポイントもあります。取得時の負担を重視するのか、総合的な収支を重視するのかも、平屋を評価する際の重要なポイントです。
周囲の建物が高いと採光が確保できないことがある
周辺環境によっては、日当たりに不安が出ることもあります。事前に採光計画を綿密に立てておくことが大切です。
平屋は2階建てと比べると背が低いため、隣の家と距離が近い場合は日差しが遮られてしまうことがあります。土地を選ぶ際は、周辺の建物の高さをチェックしておきましょう。
また、前後左右に空き地があるケースでは、購入時は問題なくても将来的に家が建ち、日照が悪化することも考えられます。複数箇所から採光できるようにする、真上からの採光を確保するなど、対策をしておきましょう。
防犯性を高める必要がある
平屋は、マンションなどの高さのある住宅と比べると侵入されやすい構造となっています。そのため、家の防犯対策が欠かせません。
例えば、リビングに大開口を設けると、窓を割られて侵入される可能性が高くなります。また、平屋は洗濯物を干す場所が1階となるため、外からの視線も気になるところです。窃盗犯などは、窓から家の様子を覗いたり、洗濯物から家族の性別や不在の時間帯を探ることも多いため、外部からどう見えるかには十分注意しましょう。
衝撃に強いガラスを採用したり、家の中に洗濯物を干すスペースを作るなど、平屋で安全に暮らすための防犯対策もあります。設計担当者に相談する際は、不安に感じる点も共有してみてください。
水害の際に垂直避難ができない
1階しかないという構造上、水害の際に2階に垂直避難することができません。そのため、水害のリスクを抑えられる土地選びをする必要があります。
平屋に限った話ではありませんが、土地を選ぶ際に必ず洪水ハザードマップを確認してみてください。インターネットで公開している自治体も多く、ほとんどの不動産会社や、設計事務所に備え付けられています。
候補地を検討する際は、水害リスクはどの程度なのか、過去に被害を受けたことはあるかを確認しておきましょう。

シニア夫婦で暮らす平屋の間取り例

それでは、実際に夫婦二人で平屋を建てた人は、どのような間取りにしているのか例を見てみましょう。
こちらは、3LDKでL字型の平屋です。南側の大きく開けた部分は中庭になっていて、LDKの大開口から日差しが暖かく差し込むように設計されています。実生活を見据えて、動線が効率的に設計されていることが特徴的です。ガレージからパントリーへ直接アクセスできるようになっていて、重い買い物袋を持ってキッチンまで遠回りする必要がありません。
また、トイレは寝室のすぐそばに配置されています。夜間、トイレに起きることの増える老後も快適に暮らせるよう設計されています。高齢になると、動き回ることがつらいと感じることが増えてきますが、動線を効率的に構築することでストレスなく生活できるでしょう。

老後の間取りを考えるときの注意点

住まいは長い年月を過ごす大切な場所です。特に老後を見据えた間取り計画では、加齢による身体機能の低下を見越して、設備の配置や間取りを考える必要があります。
快適な生活を実現するため、間取りを決める際に抑えておきたいポイントを見てみましょう。
寝室とトイレを近くに配置する
老後の住まいでは、寝室とトイレをなるべく近くに配置することをおすすめします。高齢になると夜間のトイレの回数が増加するため、距離は短い方が安心です。 寝室とトイレが離れていると、暗い廊下を歩く際に転倒するリスクも高くなります。寝室のすぐ近くに配置するか、トイレを2つ用意することも検討してはいかがでしょうか。リビングの近くに1つ、寝室の近くに1つと計2か所に設置すると、寝室にいても共有スペースに居てもトイレを利用しやすくなります。
生活動線や家事動線を短くする
日常の移動や家事の負担を軽減するには、生活動線と家事動線を短くすることが大切です。無駄な移動を減らすことで、身体への負担の少ない暮らしができます。
年齢を重ねると、家の中の移動が負担になってきます。なるべくストレスを少なく生活できるよう、間取りを考えてみましょう。
例えば、キッチンや洗面所などの水回りを一箇所に集約させることで、家事動線を短縮できます。「実生活ではどのように行動、移動するのか」を念頭に置くと、実用的な間取りを作りやすくなりますよ。
ヒートショック対策をする
高齢者の住まいを考えるときは、ヒートショックの対策を考慮して間取りを作りましょう。部屋の間の温度差を最小限に抑えることで、血圧の急激な変動を防げます。
具体的には、なるべく高気密かつ高断熱な家になるよう設計することが大切です。また、全館空調システムを導入すれば、家全体を均一な温度に保ちやすくなります。

シニア夫婦におすすめのおしゃれな平屋の建築実例
ここでは、夫婦二人で暮らす平屋の建築実例を紹介します。画像付きでピックアップしましたので、平屋だとどのような暮らしになるのか今ひとつイメージが持てない、という人は参考にしてみてください。
旅館のような落ち着きがある大人の平屋


CASE721 落ち着きのある家
この家は静かな住宅街の角地に立つコンパクトな平屋です。木材をふんだんに使った、モダンで温かみのある旅館のような印象の内装が特徴的です。
画像右側の大きなガラス窓からは自然光が差し込み、日中は室内を優しく包み込んでくれます。ガラス戸の向こうは中庭に繋がっており、シンボルツリーが四季の移ろいを知らせます。
夫婦二人だけでゆっくりと流れる時間を楽しめる、シックで落ち着いた大人の住まいです。
桜並木に寄り添うように建てられた夫婦二人の平屋


CASE686 桜並木の平屋
川沿いの桜並木を望む立地に建てられた、夫婦二人で暮らす平屋です。ガラス戸からしっかりと採光ができるので、日中は照明を点けなくても明るい空間になっています。
リビングの大開口の向こうには、塀越しに桜が見えるようになっており、季節ごとに異なる景色を楽しめる特別な眺望です。家にいながら季節の移ろいを体感できます。春になると室内で花見も楽しめる、こだわりの空間です。
コンパクトでありながら洗練された印象の暮らしやすい平屋


CASE622 fit
夫婦二人の暮らしに必要十分なスペースを確保したコンパクトな平屋です。外観や内装に過度な装飾は行わず、すっきり洗練された実用的な住まいになりました。
家の内部は、リビングを家の中心に据えることで廊下をなくし、生活動線がコンパクトにまとまった間取りです。料理や家事が無理なくでき、必要な設備が効率的に配置されています。壁面の片持ち階段は、くつろぎスペースであるキッチン上のロフトに繋がっています。
限られた空間を最大限に活用した、暮らしやすい住まいとなりました。

シニア夫婦二人暮らしの平屋にかかる費用

仮に、22坪の平屋を建てる場合、建築にかかる費用は、おおむね1,540万~2,200万円程度です。この金額に、土地の取得費用をプラスしたものが、家の建築自体にかかるお金です。
平屋の坪単価は70万から100万円ほどが相場となっています。依頼する住宅会社によっても費用は異なるため、最低でも2社以上の見積もりを比較することが大切です。
価格を抑えたいのであれば、建物の形状を四角形に近いシンプルな形にしてみてください。凹凸が少ない分、使用する建材が少なく済むため原料費を抑えることができます。
また、ハイグレードな設備や建材を取り入れすぎないことも大切です。こだわりたいポイントと、それ以外を明確にし、お金をかける部分を厳選することで無駄なコストを省くことができます。

高齢者に優しい家を建てるためのポイント

高齢者が快適に暮らせる家を実現するためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。部屋や設備ごとに、安全かつ快適に暮らすためにはどうすれば良いのか、アイデアを見てみましょう。
玄関
玄関周りでは、靴の着脱や室内に上がる際に転倒しやすくなります。歩きやすくつまずきにくい内装にすると、怪我のリスクを抑えることが可能です。
将来的に段差の移動がつらくなることを想定し、段差のない作りにしたり、スロープを採用したりすると、運動機能に不安が出てきた際も生活しやすくなります。
開き戸は、開ける際に体にぶつかったり足を引っ掛けてしまう可能性があるため、引き戸にしておくと利用しやすいです。玄関土間を広めに設計しておくことも転倒対策になります。
スペースに余裕があれば、ベンチを設置するのもおすすめです。靴の着脱が楽になります。
リビング
リビングは、車椅子で移動することを考慮し、広めの通路幅を確保することが大切です。通路の幅は90cm以上確保できると理想的です。
リビングの広さは、実際に家具を置いたところを想定して決めると、必要なスペースが分かりやすくなります。現在の家の家具をそのまま持ち込むのであれば、サイズを測って設計担当者に相談してみるのが良いでしょう。
家で過ごす時間が長くなるシニア世代にとって、リビングが快適かどうかは、暮らしやすさに直結します。採光をしっかりと確保する、天井を高めにするなど、明るく開放感があり居心地の良い空間作りを目指してみてください。植栽を植えたり眺望の良い立地にするなど、目を楽しませる工夫をすることもおすすめです。
キッチン
キッチンは毎日使うところなので、高齢者の体に負担がかからないよう設計することが大切です。
例えば、座った状態で作業できるようキッチンの高さを調整することで、使用中に疲れにくく、調理を楽しむことができます。キッチンカウンターの高さは一般的なものより低めにすると、座った状態でも使いやすいです。体格によって快適な高さに違いが出るため、できれば夫婦二人でモデルハウスを見学し、使い心地を確認できると良いですね。
キッチンの安全性の面では、IHコンロがおすすめです。火が出ないため、万一消し忘れてもガスコンロと比べて火災に繋がりにくいためです。
寝室
寝室で長く過ごす人の場合、日当たりも重視して間取りを考えましょう。
寝室が寝るためだけの部屋であれば、日当たりの悪いスペースを寝室にしても問題ないのですが、シニア世代は日中も寝室で過ごす可能性があるからです。日光はメンタルヘルスに与える影響も大きいことが分かっているため、南側や東側など、日当たりが良く明るい場所に配置できないか検討してみてください。
寝室からトイレまでの夜間照明は、明るさを重視して選ぶことをおすすめします。若い世代であれば、おしゃれさを重視してやや暗めの照明を選ぶことも多いのですが、視力の落ちやすい高齢者には見えにくいこともあります。
足元がよく見えるよう、夜間はフットライトを設置することも選択肢の一つです。
廊下
生活動線を短くするため、廊下は最小限に抑えるのが良いでしょう。
移動距離が長くなると、それだけ転倒リスクが大きくなります。家の中心に配置したLDKを経由して各部屋に移動する形にすると、廊下の少ない間取りにしやすくなります。転倒しても、共有スペースであればパートナーに気付いてもらいやすく安心です。
間取りの関係上、廊下が必要な場合は、手すりを設置したり、床材として滑りにくい素材を採用したりすると怪我のリスクを少なくできます。
廊下に繋がる扉や部屋の出入り口は引き戸にすることをおすすめします。開き戸だと、ドアを開けた際に足に当たってつまずく可能性があるからです。下側にレールのない上吊りタイプの引き戸であれば、入室時に足が引っかかるリスクを軽減できます。
トイレ
トイレは、介助や車椅子での利用を想定して広めのスペースを確保することが望ましいです。具体的には、1坪以上確保できると使い勝手が良くなります。
トイレの壁に手すりがあると、立ち上がりやすく転倒リスクの軽減にもつながるので設置を検討してみてください。またトイレ内に手洗い場があると、洗面所まで移動する必要がなくなるため、スペースに余裕があればこちらもおすすめです。
トイレの配置は、アクセスを考慮すると寝室の近くが便利です。前述のとおり、高齢者は夜間のトイレの回数が増える傾向にあるため、寝室のすぐそばにあると良いですね。例えば、寝室の向かい側や、出てすぐ右手、左手に配置しておくとストレスなく使えます。
浴室・脱衣所
浴室と脱衣所は介助を想定した広めの設計にします。温度差によるヒートショックのリスクを避けるため、温度管理に配慮することが大切です。
浴室と脱衣所は、それぞれ十分な広さを確保することで、介助が必要になった場合でも快適に使用できます。浴槽は低めのものを選び、またぎやすい高さにすることで、転倒リスクの軽減が可能です。必要に応じて、手すりや滑りにくい床材、滑り止めマットなどを利用することでも事故の予防に繋がります。
ヒートショック対策として、浴室暖房の使用がおすすめです。脱衣所にも暖房器具を設置し、温度差を最小限に抑えることが大切です。
駐車場
駐車場は広めの設計にし、屋根を付けることで、雨天時でも快適に使用できます。
駐車スペースは、通常よりも広めに設計することをおすすめします。ドアを全開にしても隣の車や壁にぶつからず、車椅子での乗り降りも余裕を持って行えるよう、十分なスペースを確保しましょう。運転席側と助手席側の両方に、車椅子が通れる幅を設けられると理想的です。
駐車場を屋根付きのガレージにしたり、カーポートを設置したりすれば、雨の日も濡れずに室内へ移動できます。駐車場から玄関までの動線は極力短くし、段差をなくすことで、安全に家に出入りできます。
必要であれば、前の道路や庭に直接乗り付けてリビングの開口部から出入りができるよう計画することも可能です。

シニア夫婦二人で暮らす老後を見据えた家づくりをしよう
シニア夫婦の終の住処として、平屋は高い人気があります。バリアフリーを実現しやすく、災害にも強いなど様々なメリットがあるからです。
一方、同じ延床面積の2階建てと比べるとやや費用が高くなる傾向にあるなど、デメリットもあります。「自分たち夫婦に合っているのか」「費用面で折り合いが付くか」など、不安があるときは、家づくりのプロに相談して情報を整理してみることをおすすめします。
当社は、平屋の実績の豊富な設計事務所です。ただいま、当社に家づくりをお任せいただいたお客様の建築実例をまとめた作品集を、無料でプレゼントしております。「他の人がどんな家にしたのか見てみたい」という方には参考になりますので、以下よりお気軽にお問い合わせください。
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シニア夫婦が二人で暮らす平屋に関するよくある質問

ここでは、シニア夫婦向けの平屋を検討している人から、当社によく寄せられる疑問や質問を紹介します。不安を感じている点があればぜひ参考にしてください。
「平屋はやめた方が良い」と言われる理由は?
平屋は、前述の通り同じ延べ床面積の2階建てと比べると建築コストは高くなりがちです。そのため「やめた方が良い」と言われることもあります。
平屋を建てるなら土地も相応の広さが必要になるため、取得費用が余分にかかることも避けられる理由の一つです。
とはいえ、どのような住宅も人によって向き、不向きはあります。高齢者にとって快適な家にしやすいという大きなメリットもあるので、予算と見積もりの内容を比較して自分に最適な家の形を模索してみてください。
老後に平屋に建て替えるならいくら必要?
今ある2階建ての家を一度取り壊し、平屋に建て替えるのであれば、新築時の建築費とほぼ同じ費用がかかります。概ね30坪で1,500万~2,500万円が相場です。
これに加えて、古い家の解体費用や、必要に応じて地盤調査費や地盤改良費などがかかります。
マンションと平屋、シニア夫婦はどちらを選ぶべき?
マンションと平屋のどちらが優れているかは一概にはいえません。ライフスタイルに応じて、適した方を選択しましょう。
例えば、マンションはベランダや廊下など共用の部分が多く、良くも悪くも他の住人との距離が近いことが特徴です。セキュリティの高い物件が多く、人目もあることから安心感があります。ただし、住んでいる限り管理費や修繕積立金を支払わなければなりません。
一方で、平屋は一戸建てなのでマンションのようにルールに縛られる心配はありません。ペットの飼育も自由ですし、近隣に迷惑をかけない限りリフォームも好きに行えます。シニア夫婦であれば、駐車場からすぐ自宅に入れることもメリットでしょう。
一方で、セキュリティ面は自分で対策が必要です。高齢者を狙った犯罪も増加傾向にあるため、必要に応じてホームセキュリティサービスを契約するなど警戒が必要です。
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この記事を書いた人

FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。