
CASE686 桜並木の平屋
近年、戸建て住宅を建てる際に平屋を選ぶ人が増えています。フラットで暮らしやすい空間が平屋ならではの魅力ですが、新築にあたって間取りの参考となる成功例を知っておきたい人も多いのではないでしょうか。
本記事では、平屋の概要とメリット・デメリットを踏まえつつ、間取り成功例を坪数・LDK別に解説します。平屋の間取りを成功させるポイントも紹介するので、ぜひご一読ください。
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目次
平屋とは
平屋とは、1階部分のみで構成される戸建て住宅のことです。ワンフロアにすべての部屋や設備が収まっているので、高齢者や小さなお子さんでも移動しやすいうえ、階段を設ける必要がない分、広いスペースを確保しやすい傾向があります。
勾配天井を取り入れた開放的なリビングや中庭を囲むコートハウスなど、さまざまな間取りを実現できることも平屋の強みです。シンプルな長方形や片流れ屋根のアシンメトリー形状など、外観も個性豊かなデザインを反映できます。
このような魅力が広く伝わったこともあり、近年は平屋の人気が高まっている状況です。国土交通省の「建築着工統計調査」によれば、新築の居住専用住宅(1~3階建ての戸建て住宅)で平屋が占める割合は2013年で約7.3%でしたが、2023年には約15.2%と2倍ほど上昇しています。
出典:国土交通省 建築着工統計調査

平屋のメリット

CASE683 丘の上のハウス
平屋を選ぶことで、以下のようなメリットを享受できます。
・バリアフリーの住まいにできる
・生活動線がスムーズ
・家族とコミュニケーションがとりやすい
・構造的に安定しやすい
それぞれの詳細についても押さえておきましょう。
バリアフリーの住まいにできる
平屋は階段がなく、1階部分だけで生活空間が完結するため、高齢者に向けたバリアフリーの住まいを実現できることがメリットです。新築時は階段を問題なく昇降できても、将来的に足腰が弱って苦労するケースを想定し、平屋を選ぶ人はよく見受けられます。
最初から平屋を建てたうえで、車椅子が通りやすいよう通路幅をできるだけ広くしたり、敷地内の段差を極力なくしたりすれば、老後も安心して暮らせる住宅になります。
生活動線がスムーズ
平屋はワンフロアにすべての部屋や設備が収まっているので、生活動線がコンパクトにまとまりやすく、効率的に生活できます。日常生活における移動や家事が1階部分だけで完結するため、身体的な負担が減ることはもちろん、快適性が高まることもメリットです。
2階建ての住宅と違い、2階の寝室から1階のトイレや洗面所まで移動したり、洗濯物を2階のベランダまで運んだりする必要がありません。
ライフスタイルや家族構成に合わせて間取りを調整すれば、さらに効率や快適性がアップするでしょう。
家族とコミュニケーションがとりやすい
平屋は1階部分のみで構成される性質上、限られた面積にすべての部屋を配置しなければならないので、基本的に廊下は少なくなります。そのため、家族同士が顔を合わせやすく、コミュニケーションの活性化につながることもメリットです。
部屋同士の距離が近い分、家族の気配を感じながら生活できるので、高齢者や小さなお子さんと安心して同居できます。
特にお子さんがいる世帯の場合、各部屋の中継地点にリビングを置く間取りにすれば、よりコミュニケーションをとりやすくなります。お子さんが成長すると、コミュニケーションの頻度は減る傾向にありますが、リビングで顔を合わせるだけでも、しっかり様子をチェックできるでしょう。
構造的に安定しやすい
日本は地震や台風が起こりやすい国ですが、平屋は構造的に安定しやすいため、強固な家づくりが可能です。
2階建ての住宅で耐震性を高める場合、2階部分を支えるための柱を組み込む必要があります。一方、平屋は2階部分が存在しないため、法律が定める耐震性を確保している場合、柱を減らしても安定した住宅を建てやすい点が強みです。
平屋であれば、家族が集まるリビングに大開口や無柱空間を設けることができます。そのため、地震や台風への耐性を高めつつ、開放的な空間をつくりたい人にピッタリです。

平屋のデメリット

CASE420 光庭の家
平屋を選んだ場合、以下のようなデメリットが発生します。
・広い土地が必要になる
・光と風を確保しにくい
・プライバシーを確保しにくい
各デメリットの詳細も理解したうえで、平屋の選択肢を検討しましょう。
広い土地が必要になる
平屋は同じ延床面積の2階建ての住宅と比べた場合、必要な土地(敷地面積)が広いため、土地の取得費用が高くなりがちです。コストがかかりやすい基礎部分や屋根の面積も広くなるので、建築費用も高騰しやすい傾向があります。
郊外の比較的安価な土地を選んだり、間取りや設備を工夫したりすることで、ある程度コストは節約できますが、予算オーバーに注意しましょう。
光と風を確保しにくい
平屋は1階部分だけで成り立つ住宅なので、2階建ての住宅など高い建物が隣に建った場合、部屋によっては日当たりが悪くなってしまうかもしれません。単に部屋が暗くなるだけではなく、湿気や寒さの問題も生じるため、住宅の快適性が低下してしまいます。
また、周囲の環境によって風通しが悪くなる可能性もあります。「2階なら1階より風が通りやすい」といった逃げ道もなくなるため、あらかじめ注意が必要です。
プライバシーを確保しにくい
平屋は生活空間が低い1階部分にある分、外からの視線が入りやすく、プライバシーを確保しにくいことがデメリットです。2階建て以上の建物が隣にある場合、上から見下ろす形で覗かれてしまいます。
さらに、平屋は家族がワンフロアに集まって暮らすため、家族同士のプライバシーを確保しにくいこともデメリットです。部屋と部屋の間に廊下を設けることで、隣の部屋への音漏れを軽減できますが、廊下の分だけスペースを削る必要があります。
また、建物自体に高さがないため、外部から侵入されやすい点にも注意しなければなりません。玄関扉や窓といった開口部の鍵を強固にしたり、センサーライトや防犯砂利を庭に取り入れたりするなど、入念な防犯対策を講じることが大切です。

平屋の間取り成功例に学ぶ! 実例10選
フリーダムアーキテクツが手掛けた新築住宅から、平屋の間取り成功例を10個ピックアップして紹介します。平屋のメリットを活かした部分、デメリットを補った部分なども含めて解説するので、ぜひ参考にしてください。
【20坪台2LDK】コンパクトでも暮らしやすい平屋

日常生活の快適性にこだわった、2LDKの間取りです。明るい日差しが差し込みやすい南側にリビングを配置しつつ、廊下を介して個室を2部屋用意しています。
部屋と部屋の間に廊下を設けており、音が他の部屋に伝わりにくくなっているため、お互いのプライバシーを確保しやすい点が強みです。浴室や洗面所といった水回りはLDK側に集約することで、夜間の排水音が気になりにくいよう配慮しています。
【20坪台2LDK】中心にテラスを配した抜けのある平屋

p class=”txt”>テラスを囲むように設計された、2LDKの間取りです。20坪台というコンパクトな広さでありながら、あえてテラスを中心に配置することで、窮屈さを感じさせない抜けのある空間を実現しています。
玄関に3.3帖のシューズインクローゼットを、寝室に2帖のウォークインクローゼットを設けていることも特徴です。物をすっきり整理できる家にしたことも、限られた空間を有効利用する工夫となっています。
【20坪台3LDK】敷地を有効利用した必要十分な間取り

20坪台の敷地を最大限まで利用した、3LDKの間取りです。南側に5帖の個室をまとめて3部屋配置しているので、各々がプライベートな時間を明るく快適な空間で過ごせます。
LDKは畳コーナーを設けているほか、デッキが空間の広がりを演出しているため、見た目以上にゆったりとした開放感のある空間です。水回りもランドリールームと洗面所を分けることで、空間を贅沢に使っています。
トイレを2箇所設置しているため、待ち時間が生じにくいことも強みです。
【20坪台3LDK】バルコニーでつながるI型の平屋

細長い土地に建てられた横長・I型の平屋で、間取りは3LDKとなっています。I型の平屋は形状がシンプルゆえに、建築費用を抑えやすいことが魅力です。
エントランスを中心に寝室をLDK側とその反対側に設けているため、限られた空間でもプライバシーをきちんと確保しています。LDK側の寝室は水回りから大きく離れているため、生活音が気になりにくいことも見逃せません。
家族の活動時間帯が大きく異なる世帯でも、ストレスなく暮らしやすい間取りです。
【30坪台3LDK】家事効率を考えたテラスのある平屋

生活動線・家事動線にこだわった、3LDKの間取りです。大きな洋室を2つに分割した子ども部屋と、一部を畳にした主寝室をまとめて配置し、南側に20帖の広いLDKを設けています。
LDKには、ホールからリビング側とキッチン側の両方に入れるため、楽に移動できます。浴室・洗面所・ランドリールーム・ウォークインクローゼットが一直線に並んでいるため、家事を時短しやすい間取りです。
さらに、LDKは2階部分がないことを活かし、勾配天井で開放感を演出しています。LDKと隣接する大きなテラスは、セカンドリビングとしても活用できるため、より開放的な空間に仕上がりました。
【30坪台3LDK】内に開かれたプライベートな平屋

エントランスから続く中庭を中心に据えた、3LDKの間取りです。建物の外側に窓がありませんが、中庭側から光と風を採り込んでいます。内に開かれたプライベートな平屋ですが、ホールやLDKから常に中庭の存在を感じ取れるため、息苦しさや窮屈さはありません。
また、洗面所の外に洗濯物を干すスペースを設けている点も特徴的です。
【30坪台4LDK】個室を広く取りそれぞれの時間も大切にした間取り

家族同士のプライバシーを重視した、4LDKの間取りです。南向きのLDKに加えて、6帖の個室を3部屋および8帖の主寝室を設けています。LDKにまとまった収納スペースはないものの、各個室にそれぞれ収納スペースを設置しているため、各自が自分の物を好きなように整理できるスタイルです。
LDKで家族とともに過ごす時間だけではなく、個室でのプライベートな時間もしっかり確保できる家となっています。
【30坪台4LDK】テラス越しに家族の気配を感じられる平屋

凹凸が多い形状の平屋で、間取りは4LDKとなっています。家の中心にテラスを配置しつつ、ダイニングとリビングを分けていることが特徴です。ダイニングとリビングをあえて分割することにより、テラス越しに家族の気配を感じながら、それぞれが居場所を見つけてリラックスできるLDKとなっています。
個室はテラスとホールで隔てられているため、それぞれプライバシー性がしっかり確保された空間です。エントランス側の離れた位置にある個室は、ゲストルームとしても活用できます。
【40坪台3LDK】中庭を中心としたロの字型の平屋

中庭を中心にLDKや個室を配置したロの字型の平屋で、間取りは3LDKとなっています。中庭は外に面していないため、完全にプライベートな屋外空間として活用できる点が特徴です。
LDKは家の外側と中庭側の両方から光と風を採り込めるので、快適性に優れているだけではなく、開放的な空間に仕上がっています。
寝室のほか、配偶者のスペースや書斎を設けているため、それぞれの仕事や趣味に集中しやすい平屋です。
【40坪台4LDK】大空間のLDKを実現したゆとりある平屋

25帖もの広大な長方形のLDKを実現した、4LDKの平屋です。LDKは南側に配置しているので、採光性と通風性に優れており、家族団らんやホームパーティーの場として活用できます。
個室はホールが隔てる形で左右に分かれているため、プライベートな時間を過ごしやすい空間です。そのうち1室はLDKに隣接しているので、要介護の家族のための部屋として使いやすくなっています。
駐車場側に外開きの扉を設けた納戸も用意しているので、さまざまな用途で役立ちます。

平屋の間取りを成功させるポイント

CASE711 「遊」・「作」
平屋の間取りを決める際は、以下のポイントが重要です。
・中庭で光と風を確保する
・あえて廊下を設けて家族間のほど良い距離を保つ
・家事動線の良い間取りを意識する
・十分な収納を確保する
各ポイントの詳細もご確認ください。
中庭で光と風を確保する
中庭を設けることで、光と風を確保しにくいという平屋のデメリットを解消できます。外側だけではなく、内側からも光と風を取り入れることができるため、より明るく風通しの良い空間を実現できるでしょう。
また、外側からの視界を遮ることにより、中庭が完全にプライベートな空間となるので、プライバシーを確保しにくいというデメリットにも対処できます。
あえて廊下を設けて家族間のほど良い距離を保つ
平屋は限られた面積で居住スペースを最大限確保しなければならないので、廊下をなくすという選択肢があります。
しかし、あえて廊下を設けることで、すべての部屋が隣接する状況を避けられるようになります。家族間のある程度の距離感を保てば、結果的にプライベートな時間を過ごしやすくなるでしょう。
また、廊下の位置を工夫すると、来客時にリビングを経由せず他の部屋へ移動できるため、家族のプライバシーを守ることが可能です。
廊下があれば、行き止まりのない回遊動線をはじめ、動線設計の幅が大きく広がるので、よりスムーズな生活動線・家事動線を実現しやすくなります。
家事動線の良い間取りを意識する
平屋は2階建ての住宅よりワンフロアが広い分、建物の端から端まで距離があります。そのため、間取りを決める際は家事動線を意識することが大切です。
例えば、玄関とキッチンを対極に配置した場合、買い出した食材を運ぶ際の移動距離が長くなるので、不便に感じるかもしれません。家事の効率を上げるためには、物理的な距離を短くする必要があります。
回遊動線をつくったり、水回りを1箇所にまとめたりするなど、家事動線の良い間取りを考えましょう。
十分な収納を確保する
平屋は2階建ての住宅より延床面積が小さくなりやすいため、収納をつくる際に工夫が必要です。
例えば、小屋裏空間や中二階の空きスペースを活用したり、床下収納を設けたりすることで、限られた面積でも効率的に収納スペースを確保できます。収納自体の機能性や利便性、各部屋の用途など考慮することが大切です。
特に衣類や日用品はかさばりやすいので、整理整頓しやすいよう設計する必要があります。

平屋の間取り成功例を参考に理想の住まいを実現しよう
平屋は有益なメリットが多い一方、採光性・通風性・プライバシーなどに関するデメリットもあります。間取りを工夫しないと生活動線が悪くなったり、息苦しさや窮屈さが生じたりするため、家族やハウスメーカーの担当者と相談しながら、じっくり検討したいところです。
本記事で紹介した平屋の間取り成功例を参考に、家族のライフスタイルに合った理想の家をつくりましょう。
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平屋の間取り成功例についてのよくある質問
平屋の間取り成功例についてのよくある質問に、フリーダムアーキテクツが回答します。
3人家族なら何坪の平屋が必要ですか?
国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」によれば、快適な暮らしを送るために必要な戸建て住宅の広さは、以下の通りです。
・単身世帯:55㎡
・2人以上の世帯:25㎡×世帯人数+25㎡
上記の指標を用いて、家族構成別における平屋の平均坪数を算出しました。
人数・家族構成 | 平屋の平均坪数 |
---|---|
2人暮らし(夫婦2人) | 22~24坪程度 |
夫婦と子ども1人(3人) | 25~30坪程度 |
夫婦と子ども2人(4人) | 30~35坪前後 |
1人暮らし | 20坪程度 |
3人家族なら25~30坪程度が目安ですが、間取りやライフスタイルによっても変わります。
出典:国土交通省|住生活基本計画(全国計画)
平屋の平均的な建築費用を教えてください
「2023年度 フラット35利用者調査」の注文住宅融資利用者の主要指標をベースに考えた場合、坪単価は107万円です。
出典:住宅金融支援機構|2023年度 フラット35利用者調査
30坪の平屋を建てると仮定した場合、予算の目安は3,210万円であり、4人家族がゆとりをもって生活できます。40坪であれば、4,280万円ほどかかるケースが多いでしょう。
ただし、建築面積・間取り・設備のグレード・ハウスメーカーなどにより、実際の建築費用は大きく変動します。家づくりの際は建物の費用に加えて、土地代や外構費用がかかることも把握しておきましょう。
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この記事を書いた人

FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。