• 30坪の平屋は「なんとなく」で計画すると失敗する⁉︎間取りのつくり方と費用の目安

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    30坪の平屋は「なんとなく」で計画すると失敗する⁉︎間取りのつくり方と費用の目安とは

    2022年度フラット35利用調査によると、注文住宅融資利用者の住宅面積(=延床面積)の平均は36.9坪(122.8m2)、土地付注文住宅融資利用者の住宅面積の平均は33.7坪(111.5m2)となっています。これらのデータを踏まえると、30坪の平屋は平均より少し狭い広さといえるでしょう。

    そのため、間取りや生活動線の設計などを間違えてしまえば、住みにくい家になってしまうかもしれません。そこで本記事では、30坪のプラン事例の特徴や費用の目安、30坪で建てるメリットとデメリットを中心に解説します。家づくりの参考にしてください。

    延床面積30坪の平屋の広さはどのくらい?

    坪数では広さがイメージしにくい人は多いのではないでしょうか。1坪は約2帖ですので延床面積(住宅面積)30坪の平屋は60帖です。また、1坪=約3.3m2ですので、30坪の平屋は30坪×3.3m2=99m2となります。つまり正方形の土地であれば、おおよそ10m×10mほどの広さになるわけです。

    しかし、敷地面積はもっと広い土地が必要になります。仮に住宅の平均的な建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)である60%で平屋を建てる場合は、50坪の土地が必要です。

    それでは、延床面積30坪の平屋の広さは、どのような世帯向けといえるのでしょうか。ライフスタイルにもよりますが、30坪の平屋は3~4人家族ならゆとりがあり、4~5人家族でも工夫次第で快適に暮らせるといわれています。間取りで考えると3LDK~5LDKが一般的です。

    素敵な暮らしを実現!30坪の平屋住宅の間取りプラン実例

    ここからはフリーダムアーキテクツの間取り事例から30坪の平屋住宅を紹介します。開放感の出し方や効率的な家事動線など、家づくりのポイントをみていきましょう。

    【実例1】さまざまな使い方が可能な5LDKの間取り

    さまざまな使い方が可能な5LDKの30坪の平屋の間取り図

    家族4〜6人が快適に暮らせる5LDKの間取りです。家族のプライバシーを守りながら、リビングに家族が集まれる平屋になっているのが特徴です。

    特徴①コストを抑えた間取り

    この住宅は凸凹のない長方形の平屋となっています。このようなシンプルな構造の平屋は、コの字型やロの字型のように壁の数が多い平屋に比べて、建築費を抑えられるのがメリットです。

    平屋住宅を建てる人のなかには、倉庫やガレージのような単調なデザインになるのを避けるために、あえて凸凹を付けようとする人もいるようです。しかし、複雑な形にするほどコストが上がります。また、間取りの自由度が減ったり、家具を配置しにくくなったりするなどのデメリットもあります。

    こうしたデメリットが多くなるくらいなら、この住宅のようにシンプルな構造にしたほうが、トータルの満足度を上げやすくなるでしょう。

    特徴②収納が各部屋に設置されている

    各部屋の広さを確保しつつ、造り付けの収納を設置しています。収納は0.7~1.5帖と狭すぎないため、普段使わない物を片付けるのに十分です。また広すぎず、不要な物をため込んで増やしてしまうこともないでしょう。

    この間取りの収納はいずれも押し入れ収納です。押し入れ収納は汎用的に使えるため、子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせて柔軟に利用できるメリットがあります。

    しかし、目的や収納物がはっきりしているなら、特化型の備え付け収納を付けるのも良い方法です。注文住宅ならファミリークローゼットやシューズクロック、壁面収納、床下収納など、いろいろな収納タイプを選べます。

    特徴③来客があっても困らない間取り

    4人世帯であれば余った部屋をゲストルームとして使用できます。親や友人などが急に泊まることになっても困りません。

    また、トイレが玄関横にあるため、気軽に貸せるのもメリットです。玄関ホールを挟むためトイレの音・ニオイが気にならず、ゲストも家族も安心して利用できます。

    特徴④風の通り道が確保されている

    南北方向に多くの窓が設置されています。各部屋の窓と扉を開けておけば、自然に風が通り抜けるように設計されているのがポイントです。

    この平屋住宅のように多くの部屋をつくると、風通しの悪い部屋が出てしまいがちです。しかし、プロの設計者に相談すれば、スリット窓や高窓など、いろいろなアイデアで解決してもらえます。

    特徴⑤可変性のある間取り

    子どもが独立して部屋が必要なくなったらリビング横の部屋を畳部屋に変えるなど、可変性のある間取りとなっています。ライフステージに合わせて間取りを変えられるため、将来も住み心地の良い家であり続けられます。

    また、構造上問題が出なければ、例えば6.0帖の部屋と4.5帖の部屋を壁ではなく収納家具で仕切っておき、将来2部屋をつないで大きな部屋にすることも可能です。将来の計画を設計者に伝えておくと、可変性のある間取りを提案してもらえるでしょう。

    【実例2】コミュニケーションを大事にできる3LDKの間取り

    コミュニケーションを大事にできる3LDKの30坪の平屋の間取り

    ここで紹介するのは、広々としたLDKに家族が集いコミュニケーションを大事にできる3LDKの間取りです。

    水回りを集めた家事動線の良さや、大開口窓とリビングテラスなど魅力的な工夫が多くありますので、家族3〜4人世帯での広々とした住居にしたい場合に、ぜひ参考にしてください。

    特徴①24帖テラス付きの開放的な吹き抜けリビング

    この住宅は24帖もある広々としたリビングが特徴です。これだけの広さがあれば、家族3~4人で過ごすだけでなく親族、友人などをたくさん招いて、ホームパーティーもできるでしょう。リビングの上は吹き抜けになっているため、水平方向だけでなく垂直方向の開放感もあります。

    また、リビングにはテラスが連結されています。窓を開けるとさらに広く感じられるでしょう。季節が良いころは外で食事をしたり、読書をしたり、気分転換にリモートワークをしたりと、いろいろな楽しみ方ができそうです。

    特徴②キッチン横のワークスペースも

    キッチン脇にはワークスペースが設けられています。横長のデスクになっているため、趣味や内職など多目的に使えるでしょう。また、ワークスペースを子どもの勉強場所にすれば、料理や食事の後片付けをしながら子どもを見守れます。

    さらにリビング近くには個室の書斎もあります。こちらは扉で仕切られているため、リビングの話し声や足音などが気になりません。リモートワークや在宅の仕事に集中できるでしょう。

    特徴③大開口窓で光を多く取り入れられる

    大開口窓で光を多く取り入れる
    CASE472 突き抜ける家

    南側にあるLDKの窓は大開口になっています。平屋は階上を支える柱や壁が少なくて済むため、木造でもこのような大開口にしやすいのがメリットです。

    南から光を取り込めるため、部屋全体が一日中明るくなります。吹き抜けの効果もあって、いっそう開放的な空間に感じられるでしょう。また、部屋からの眺めも良好です。キッチンからリビングまで窓がつながっているため、外の景色をパパノラマ状に眺められます。

    特徴④効率の良い家事動線

    30坪の平屋では、屋内でもそれなりの広さがあります。特に縦長・横長の平屋の場合は、端から端に移動するような家事動線は避けたいところです。

    この間取りではキッチン横からパウダールーム、ドレスルームがあり、その先にラウンドリーがあるため、他の家事をしながらの洗濯が楽になっています。また、パウダールームとドレスルームが分かれており、忙しい朝に着替えと身支度がバッティングしないようになっているのも工夫の一つです。

    キッチンの真横にはダイニングがあり、料理の提供やお皿の回収などがスムーズにできます。対面キッチンのように向かい合ってのコミュニケーションは取りづらいですが、この間取りでは、対面キッチンよりスペースを節約できるのがメリットです。

    特徴⑤2.5帖の広いバスルーム

    30坪の広さがあれば、バスルームを広くとれます。この実例では2.5帖と広めのバスルームでお風呂の時間を楽しめるのが魅力的です。一般的なバスルームは1~2帖ほどで2人以上では手狭ですが、2.5帖のバスルームなら子どもと一緒に伸び伸びとお風呂に入れます。

    また、浴室の構造にもよりますが、2.5帖は車イスと介護者が一緒に入れる広さですので、バリアフリーの観点からも安心です。ドレスルームも3.0帖と広いため、引き戸にしたり手すりを付けたりすれば、バリアフリーを実現できるでしょう。

    30坪の平屋住宅の費用目安

    30坪の平屋住宅の費用目安とは

    平屋住宅(木造)の坪単価は40〜60万円が相場ですので、30坪の平屋住宅の場合は1200万円〜1800万円となります。

    しかし、上記は建築費のみであり、他にも附帯工事費や諸費用がかかります。附帯工事費とは、地盤工事や外構工事、ガス工事、照明器具など建物以外の工事費用です。また諸経費とは、登記代や保険料、地鎮祭、雑費などです。

    一般的に家づくりにかかるトータル費用の内訳は、建築費70%、附帯工事費20%、諸経費10%の割合になるとされています。この割合で計算すると附帯工事費は約340万~500万円、諸経費は約170万~250万円になります。つまり、30坪の平屋住宅のトータル費用は、1710万~2550万円です。

    しかし、これらはおおまかな目安に過ぎません。例えば建物が残っていれば解体工事費がかかりますし、土地によっては地盤改良工事費がかかります。また、間取りの形や選ぶ建材などによっても費用が上下するため、見積もりの目安だけ押さえておいて、詳細はしっかりと工務店やハウスメーカーに確認しましょう。

    30坪の平屋住宅を建てるメリット

    ここでは30坪の平屋住宅を建てるメリットを紹介します。

    ・家族でのコミュニケーションが増える
    ・生活動線の良い間取りにできる
    ・ゆとりのある暮らしができる
    ・自然を取り入れた暮らしができる

    家族でのコミュニケーションが増える

    平屋は1階で暮らしが完結するのが特徴です。同じフロアに家族が集まるため、自然と家族のコミュニケーションが増えます。30坪の広さがあれば、このメリットはさらに大きくなるでしょう。30坪の広さがあれば、18~20帖ほどのLDKを確保しやすいため、次のような配置が可能です。

    ・リビング(ソソファテーブル、テレビなどのスペース):6帖くらい
    ・家族の顔をみやすい対面キッチン:6帖くらい
    ・ダイニングキッチン:4帖くらい
    ・ダイニングとリビングの通り道:2帖くらい

    この間取りであれば、例えば夫婦+子ども2人という家族構成でも、同じ場に集いやすいのではないでしょうか。

    生活動線の良い間取りにできる

    平屋は工夫次第で生活動線が良くなるのがメリットです。例えば、玄関~主寝室~ウォークインクローゼット~洗面所~ランドリールームのようにつながっていると、各部屋をスムーズに移動できます。

    しかし、このようにしっかり計画しないで、「平屋だから無条件で生活動線が良くなる」などと考えてしまうと失敗しかねません。最短最小の移動距離を考えるのが設計の基本ですので、プロの設計者に相談することをおすすめします。

    ゆとりのある暮らしができる

    ゆとりのある暮らしができる部屋
    CASE472 突き抜ける家

    30坪の平屋であれば、シンプルな間取りにしても、3~4人家族がゆとりを持って暮らせます。先ほど紹介した16帖のLDKの平屋では、4.5帖×3部屋と6帖を確保できています。

    この間取りなら、LDKに家族が集まる時間を楽しんだり、個々に過ごす時間を持ったりと自由に過ごせるでしょう。特に廊下を極力なくす間取りにするとスペースが広がり、間取りの自由度も高まります。

    中庭やテラスなど自然を取り入れた暮らしができる

    ロの字型やコの字型の平屋は建築面積が広くなるため、広い敷地が必要です。しかし、30坪の平屋を検討しているのであれば、設計次第で無理なく取り入れられるでしょう。

    ロの字型やコの字型にすると、どの部屋からも中庭の自然を眺められます。また、日当たりや風通しが良くなるのもメリットです。

    正方形や長方形の間取りを考えるのであれば、広いテラスを設けるプランも考えられます。例えば趣味の時間や家庭菜園を楽しめるインナーテラス(屋内・半屋内につくられたテラス)にすれば、一部屋のようにスペースを活用できます。

    30坪の平屋住宅を建てるデメリットと対策方法

    30坪の平屋を建てる際は、以下のようなデメリットも考える必要があります。

    ・広い土地が必要
    ・部屋数が必要だと窮屈に感じる
    ・日当たりや風通しが悪くなる可能性もある

    対策方法と併せて解説します。

    広い土地が必要になる

    30坪の平屋を建てるとなると、一般的な建ぺい率60%では最低でも50坪の土地が必要です。「テラスが欲しい」「庭を充実させたい」などの希望があれば、さらに広い土地が必要になります。

    広い土地を購入すると、土地代が高くなるうえに固定資産税も上がることに注意しておきましょう。固定資産税は200m2=60.5坪を境に高くなってしまいます。

    したがって、これから土地を購入するなら、工務店やハウスメーカーにも相談して土地を検討しましょう。建物と土地を同時に考えられるため、コストを最適化しやすいのがメリットです。また、早い段階から建築費と土地代のバランスを決めやすい利点もあります。

    2階建てと比べて割高になる

    平屋は延床面積に対する基礎や屋根の面積が大きくなるため、建築費が割高になる傾向があります。目安としては、1~2割高くなると考えておきましょう。この割高分を差し引いて、平屋の方がいいのかどうか検討するべきです。

    例えば、「上下の移動がないバリアフリー住宅にしたい」「夫婦2人なのでコンパクトな暮らしがしたい」など、明確なメリットや長期的な計画があれば、2階建て住宅より平屋のほうが満足度が高くなるでしょう。しかし、あいまいな理由で平屋を選ぶと、後悔してしまうかもしれません。

    日当たりや風通しが悪くなる可能性もある

    平屋は立地条件や周囲の環境などによっては、日当たりや風通しが悪くなります。例えば、北向きに横長の間取りでは日当たりが悪くなりやすく、冬は寒く一日中暗い家になってしまいます。また、30坪の広さがあれば、中心部の日当たりと風通しが悪くなる可能性もあるでしょう。

    このため、平屋は勾配天井や天窓などで工夫するのがポイントです。勾配天井の傾斜部分には天窓を付けて採光できるため、部屋の中心部まで明るくなります。また、窓数が増えると風の通りが良くなります。

    平屋では、道路や近隣住宅に隣接しているなどの理由で窓を設けにくいケースが少なくありません。こうした採光・通風がしにくい場合も、勾配天井と天窓の組み合わせが効果的です。

    快適な暮らしを実現するために専門家に相談しよう!

    快適な暮らしを実現するために専門家に相談
    CASE472 突き抜ける家

    30坪の平屋は十分な広さがあり、3~4人家族がゆとりをも持って活できます。しかし、2階建てと違う平屋住宅の特徴もあるため、安易に間取りや窓の配置などを決めてしまうと失敗のリスクもあります。

    家づくりでは頼れる専門家を見つけることがとても重要です。フリーダムアーキテクツは年間約400棟の建築実績を持つプロ集団です。資金計画から土地探し、設計、デザインまで幅広く対応できますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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