CASE694 Veil(ベール)
注文住宅を建てる際の土地選びで、旗竿地が気になっている人も多いのではないでしょうか。旗竿地は相場より安く売られていることが多く、建物に予算をかけたい場合は旗竿地も選択肢のひとつです。旗竿地には旗竿地ならではのメリットがあり、デメリットも間取り次第で解消できる可能性があります。
この記事では、旗竿地の購入を検討中の方へメリット・デメリットを詳しく解説します。旗竿地を活かす間取りの工夫や実例集、注意点なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
旗竿地とは
CASE710 décor
旗竿地とは、通常の四角形の土地とは違い、敷地の一部が公道に向かって伸びていている土地のことです。住宅を建てる広い敷地が公道に面しておらず、広い敷地から公道に向かって細長い敷地が伸びているのが特徴です。奥の広い敷地を旗、公道までの路地を竿に例えて、旗竿地と呼ばれています。
旗竿地は、特に土地の価値が高い都市部でよく見られます。相続などの事情で手放された広い土地を売る際、販売しやすい広さ・価格に土地を分割するケースが多いためです。
旗竿地を含め、変形地については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてチェックしてみてください。
関連記事: 変形地に家を建てる!メリット・デメリットや地形を活かした間取りや実例を紹介
旗竿地で家づくりをするメリット
家づくりの際、旗竿地のような変形地は敬遠されがちです。「場所は良いのに旗竿地なので購入を迷っている」という人もいるかもしれません。しかし、実は旗竿地には以下のように多くのメリットがあります。
・近隣の相場より安く土地を入手できる
・道路から家が見えないためプライバシーを守れる
・路地部分を駐車スペースとして活用できる
・整形地より延床面積が大きい家を建てられる
以下で、旗竿地の4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
近隣の相場より安く土地を入手できる
旗竿地のような変形地は敬遠する人が多く売れにくい傾向にあるため、近隣の土地の相場価格よりも安い価格が設定されているケースが多く見られます。そのため、相場よりも安く土地を入手できるのが大きなメリットです。
家づくりの予算が限られている場合、土地にお金をかけすぎると家自体にかけられる予算が減ってしまいます。旗竿地を選んで想定よりも安く土地を購入できれば、浮いた予算を建物や外構にかけられるので、理想の間取りや設備を実現しやすくなりますよ。
道路から家が見えないためプライバシーを守れる
旗竿地は住宅を建てる部分の敷地が公道に面しておらず、道路から家が見えません。道路に面しているのは敷地の路地部分のみのため、家自体には周囲の視線が届きにくくプライバシーを守れるのもメリットのひとつです。
例えば交通量や人通りの多い道路に面した住宅は周囲の人の視界に入りやすく、人目が気になると感じる人も多いでしょう。周囲の騒音に悩まされる可能性もあります。一方で、住宅が公道に面していない旗竿地なら、騒音が届きにくく静かに暮らせるのがメリットです。
また、道路に面していないことで、お子さんの道路への飛び出しも防げます。小さなお子さんのいるご家庭では、安全性が大きな魅力になるでしょう。
路地部分を駐車スペースとして活用できる
旗竿地の路地部分は、単なる通路としてだけでなく駐車スペースとして活用することも可能です。一般的な整形地では敷地の一部に駐車スペースを設ける必要があり、その分住宅の面積を削らなければなりません。
一方、旗竿地の路地を駐車スペースとして活用すれば、奥の広い敷地をすべて住宅のために使えるのがメリットです。
整形地より延床面積が大きい家を建てられる
住宅の大きさは建ぺい率などの上限が定められていて、敷地面積によっては希望する大きさの家が建てられないこともあります。例えば3階建てにして延床面積を広くしたいと思っても、敷地面積や自治体の制限によって実現できないケースもあるため、注意しなければなりません。
旗竿地の場合、路地部分も敷地面積として合算が可能です。そのため、路地の奥にある住宅用の敷地に対して大きめの延床面積の家でも、建ぺい率などの上限をクリアできる可能性があります。
旗竿地に家を建てるデメリットも知っておこう
ここまで、旗竿地ならではのメリットを紹介してきましたが、やはりデメリットもあります。デメリットを把握しないまま旗竿地を購入してしまうと家づくりに後悔が残るおそれがあるため、デメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
旗竿地のデメリットとしては、以下が挙げられます。
・路地部分を活かしきれない可能性がある
・隣家との距離が近くなりやすい
・アプローチなどの外構工事費が高くなりやすい
・風通しや日当たりが悪くなりやすい
上記4つのデメリットについて、以下で詳しく解説します。
路地部分を活かしきれない可能性がある
旗竿地の特徴である路地部分の敷地の活用方法については、購入前にしっかり検討しておく必要があります。駐車スペースなど明確な用途が決まっているなら、問題はありません。一方、路地部分の使い道が決まらないまま旗竿地での家づくりを始めると、路地部分の敷地を持て余して無駄なスペースが生まれてしまう可能性があります。
駐車スペース以外の活用法としては、自転車置場や遊歩道、小さなお子さんの遊び場などが挙げられます。旗竿地の購入を検討している人は、路地部分の面積や形状からどのように活用できるのか一度しっかり考えてみてください。
隣家との距離が近くなりやすい
旗竿地のメリットとして、奥の住宅用の敷地に大きめの家を建てられる点を紹介しました。しかし、敷地面積に対して住宅が大きいと、その分近隣の住宅との距離が近くなることを意味します。
隣家との距離が近すぎると、生活音やにおい、窓からの視線などが気になるかもしれません。旗竿地に大きめの家を建てたいという人は、窓の位置や間取りなどに気をつける必要があります。
アプローチなどの外構工事費が高くなりやすい
旗竿地は路地がある分、同じくらいの広さの整形地よりも長い塀が必要です。すでに塀などが設置されていれば問題ありませんが、新たに塀を設置する場合は外構工事費が高くなりやすいというデメリットがあります。
塀の設置だけでなく、例えば路地部分を駐車スペースとして活用するなら、コンクリートで舗装しなければなりません。これにも、多くのコストがかかります。外構工事に多くの費用がかかると建物にかけられる予算が減ってしまうため、注意してください。
風通しや日当たりが悪くなりやすい
旗竿地は住宅が道路に面しておらず、周囲を近隣の住宅などに囲まれる可能性が高いです。そのため、風通しや日当たりが悪くなりやすいというデメリットもあります。旗竿地を購入する際は、事前に住宅部分の敷地の周辺環境を確認しておきましょう。
旗竿地の風通しや日当たりが気になる場合は、リビングを2階に設置したり、吹き抜けや天窓を設けたり、間取りを工夫することで解決できるケースもあります。
旗竿地を最大限に活かそう! 間取りの工夫と実例集
旗竿地には先ほど紹介したようなデメリットもありますが、デメリットを解消しながらメリットを最大限に活かすよう間取りを工夫すれば、とても魅力的な家に仕上がります。
フリーダムアーキテクツが手掛けた旗竿地住宅の実例をご紹介するので、旗竿地の購入を検討している方はぜひチェックしてみてください。
中庭を囲う舞台のようなLDK
CASE710 décor
こちらの実例では、旗竿地の風通しや日当たりの問題を解消するために中庭を設けています。玄関を入ると正面の大きな窓から中庭が見えるようになっていて、明るく開放感が感じられます。
中庭を囲うように生活空間と動線を配置しているので、プライバシーを確保しながら1日を通して太陽の光を感じられるのが特徴です。
吹き抜けを採用した舞台のような開放感を持つLDKとそこから続く中庭によって、旗竿地のデメリットである風通しや日当たりの悪さをしっかり解消しています。
ウッドデッキの中庭が家全体をつなぐ住まい
CASE735 brighted home
旗竿地は都市部に多く、その形状を活かしていかに安らげる空間を作り出せるかがポイントになります。こちらの実例は、商業施設街にほど近い旗竿地を活用した都市型コートハウスです。
家の中心にウッドデッキのある中庭を設け、各部屋に光を導くよう工夫しました。玄関からガラス戸越しにつながるLDKは、開口部のない玄関空間に視線の抜けをつくっています。
リビングはチークを基調とした温かみのあるインテリアが中心で、都市の喧騒を感じさせない家族が安らげる住まいです。
アプローチから玄関に続く塀でプライバシーを確保
CASE694 Veil(ベール)
旗竿地の家づくりで注意したいポイントのひとつが、プライバシーの確保です。こちらの実例では、アプローチから玄関につながるように設置した壁が、玄関への誘導とプライバシーを守る役割を果たしています。長く白い壁は、まるでベールに包まれているかのような佇まいです。
アプローチから玄関へとつながる壁。
家の中はリビング越しに広い庭まで視線が伸びていくように設計されていて、開放感が感じられる間取りとなっています。また、家族の目が広く行き届くので安心感もあります。
とじる・ひらくのメリハリをつけた空間
CASE477 とじる・ひらく
旗竿地の家づくりでは、外からの視線を遮るよう「とじる」ことと、日当たりや通気性を確保する中庭を設けるなど「ひらく」ことの両方が重要なポイントです。こちらの実例では、このとじる・ひらくのメリハリを効かせています。
外に開かれたバルコニー。
中庭やバルコニーで開放感を演出しつつ、訪問者からの視線が届かないよう2階廊下側の裏側に通路を設けるなど、閉じた空間・開けた空間を活用しています。
大開口窓とトップライトで自然光を採り込む
CASE665 LUCE
旗竿地は光が届きにくいため、2階以上にリビングを設けるケースも少なくありません。しかし、こちらの実例では、比較的暗くなりやすい1階にリビングを設けたいというご要望がありました。そこで、3階部分に大開口窓とトップライトを設置し、旗竿地でも明るく開放感のある1階ビリングを実現しています。
3階、2階と吹き抜けを連続して設けることで、1階のリビングまで自然光が降り注ぎます。リビングの壁は一面をガラス張りにし、光を拡散させて空間を広く見せる工夫を取り入れました。各部屋には室内窓を設け、吹き抜けに入る光を取り込めるようになっています。
植栽で隣家との距離感を保つ
CASE543 OASIS in the city
旗竿地で隣家との距離の近さが気になるときは、植栽を取り入れるのも方法のひとつ。こちらの実例では、お隣の庭の植栽が程よい距離感と借景を生み出しているのが特徴です。
2階に設けたリビングからは、植栽の緑と青い空の景観が楽しめます。建物内を風が自由に抜けていくような、抜けのある快適な住まいを実現しました。
光を届けるリビング階段
CASE503 ヒカリノソソグイエ
こちらの実例では、旗竿地で採光条件が悪い問題を、LDKの中心に階段を設けることで解消しています。リビングとダイニング・キッチンの間に配置された階段は、吹き抜けの役割も果たしています。リビング上部にも吹き抜けをつくり、それぞれにトップライトを設けることで天井から十分な光を取り込めるようになっているのが特徴です。
関連ページ:さらなる変形地・傾斜地の実例はこちらで紹介しています。
決断する前に確認! 旗竿地を購入する際の注意点
旗竿地の購入を検討している方は、以下の点に注意してください。
・路地の幅をしっかりチェックする
・工事車両が入れるかを確認する
・インフラの整備状況を確認する
上記3つの注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。
路地の幅をしっかりチェックする
家を建てるために旗竿地を購入する場合、路地の幅を必ず確認してください。建築基準法では、路地幅が2m以上でなければ家を建築することはできない決まりとなっています。また、路地の長さが一定以上の場合は、約3m以上の幅が必要です。
格安で売られている旗竿地の中には、路地幅が2m未満のものもあるようです。古家付きで販売されている旗竿地でも、路地幅が2m未満では古家を解体して新たに家を建てることはできません。
また、駐車スペースとして活用する場合は車種によって必要となる幅が変わってきます。車のドアを開けることや車の隣を人が通ることを考えると、路地幅は最低でも2.5mは必要でしょう。また、車の出し入れをスムーズにするために、前面の道路幅は4.5mほどあると安心です。
工事車両が入れるかを確認する
旗竿地は路地部分しか道路に面しておらず、家を建てる際にはクレーンや重機など工事車両が路地を通って奥の敷地まで入っていかなければなりません。もし、工事車両が路地を通れなければ、材料を人が運んだり職人が手作業で対応したりする必要があります。
人による作業が増えると工事費用が高くなり、作業効率が下がって工期が長引く原因となるため注意してください。旗竿地を購入する際は、工事車両が路地を通れるかどうかも重要なポイントとなります。
インフラの整備状況を確認する
周囲に近隣住宅が密集している旗竿地では、電気や水道といったインフラの整備状況も確認が必要です。古家が建っていたとしても、電線や水道管が近隣の土地の上空や地中を通っているケースも見られます。
場合によっては私設電柱を建てるといった対応が求められる土地もあるため、購入前に不動産会社にしっかり確認しておきましょう。
旗竿地でも工夫次第で理想の家づくりが楽しめる
旗竿地は相場よりも安く土地を購入でき、延床面積が広い家を建てられるなど多くのメリットがあります。その一方で、風通しや日当たりが悪くなりやすいといったデメリットもあることを把握しておかなければなりません。
旗竿地のデメリットは間取りの工夫で解消できるケースも多いため、今回紹介した実例を参考に、旗竿地の特徴を最大限に活かした家づくりを楽しんでください。
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この記事を書いた人
FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。