ヘイルメリーマガジン VOL.008
男の城を造るプロフェッショナル
建築設計事務所編
鐘撞正也/フリーダムアーキテクツデザイン代表。阪神大震災を契機に家づくりの重要さに目覚め、弱冠24歳で個人建築設計事務所「フリーダム」を設立し現在に至る。ニュートラルなデザインをコンセプトに、徹底して住む人の側に立った家づくりを行っている。
豪邸ニーズに応える「社長邸宅プロジェクト」
ニュートラルな視点から施主の理想や要望、夢までも汲み取った家を作り出すフリーダムアーキテクツデザイン(以下フリーダム)。
新築着工件数は年間約370棟にものぼり、完全独立系の建築設計事務所の中で全国ナンバー1の実力を持つ。
フリーダム代表の鐘撞正也氏が、現在注力しているプロジェクトがまた個性的で面白い。名付けて「社長邸宅プロジェクト」だ。
「端的に言うと豪邸プロジェクトです。
1億5000万円以上の家を受注する受け皿になろうというアイデアですね。その金額の住宅を建てようとすると、みなさんどこに発注していいか悩むわけです。
ハウスメーカーに見合う商品はなく、結局有名建築家の門を叩いてしまう。でも、有名建築家の設計は、概して施主の要望を軽視する傾向があるでしょう?
せっかく大金を投資するのだから、すみずみまで満足感の行きわたった家づくりのお手伝いを私たちがしましょう、と考えたわけです」
マーケットのニーズも少なくないと鐘撞氏は語る。 鐘撞氏と同世代の友人の中にはIT やベンチャーで成功を遂げた人が増え始め、その成功の証として大きな住宅を建てようと考えている人が潜在的に増えてきている。そこに彼はいち早く着目したのだ。
打ち合わせ段階から家の完成図を把握できる
若くして成功を遂げた人のお金の使い道が変わってきていると鐘撞氏は分析している。これまで彼らのステイタスシンボルといえば高級腕時計やクルマだった。
しかし今は堅実なビジネスパーソンが増えたのか、家を建てたいとフリーダムに訪れる人が多くなってきているという。
「面白いことに、成功した人たちはまず感謝の気持ちを込めて両親に5000万以上の家をプレゼントするんですね。
そこで家づくりの流れや方法を学んで、いよいよ自宅を建てる。
そういう事例がもう何ケースもあり、注目すべき傾向です」しかし、家はクルマなどと違い、実物を見たり試乗をしたりなどの体感をすることが難しい。
特に自由設計の家づくりではその特性が強い。その課題解決のためにフリーダムでは、業界内でも先駆けとなって「BIM(ビム)」を導入した。
「BIM というのは設計ソフトです。これまで平面図や断面図などの2次元の図面をもとに打ち合わせを進めていましたが、お客様からすれば、それだけ見せられても完成する家のイメージが浮かんできません。
しかし、BIM を活用すれば、外観や内観の細部まで3次元で再現できるため、お客様も打ち合わせ段階からどういった家に仕上がるのかを、具体的に確認できるようになります」
上の写真がまさにBIM で描いた図面。完成する家の奥行や高さ、さらに使用する素材や家具の配置などの詳細までを具体的に確認できる。
空間の収まりも立体的に確認できるため、着工後のズレもなくなる分、修正などにかかる不要な費用の軽減に繋がることも大きなメリットだ。
しかし、BIM のメリットはこれだけではない。図面で配置される家具や使用する壁材、建築部材などは実際に商品化されたデータと連動しているため、シミュレーションといえども完成予想図との誤差が少なくなる上に、商品データにはメーカーの発注先や価格も含まれているのでパッケージの見積もりを図面の作成と共に算出できるのだ。
「例えば床材をウッドから大理石にしようと図面をいじると、即座に図面に反映され価格も上乗せされて算出されます。高額な買い物となる家づくりにおいて、お客様にとっての様々なメリットが実現できることから、社長邸宅プロジェクトにはBIM を100%導入していきます」。
まさに男の城を造るプロフェッショナル。ここまでの詳細が分かるのであれば、家づくりへの期待感が昂るだろう。家づくりは、今や夢のあるエンタテインメントになった。
豊富な実績があるフリーダムだからこそBIMを最大限に活用できる
先に述べた通り、BIM の活用により、家の完成イメージをより具体的に把握することが可能となる。
しかし、そのためには豊富な建材データベースやノウハウの蓄積が不可欠だ。フリーダムでは、年間約370棟のデザイン住宅を手がけてきたという、設計事務所として類を見ない実績を誇る。
さらに、それらの実績はすべて自由設計で手がけたものとなるため、ひとつとして同じ実例は存在しない。
そのため、豊富な建材データベースをBIM に取り込めることから、施主の様々な要望に対して、柔軟な提案が実現できることは魅力的だ。
また、約150名の設計者が在籍する同社では、設計者同士の情報共有も徹底している。同社の手がけた実績は、すべて社内サーバーで保管・共有されていることも、柔軟な対応を可能にしているポイントだ。
■ヘイルメリーマガジン
まだ見ぬすばらしき
『知的不良、Mr.Untouchable』の世界をお届け
月刊誌:毎月30日発売
出版社:ヘイルメリーカンパニー
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