GOETHEVol.20
住宅設備業界最大手のLIXILと
手を組むってウワサ、本当ですか?
会社経営において、信頼できる先輩経営者との出会いがターニングポイントになることがある。これまでも、フリーダムの事業展開、そして旧来の建築業界を打破する思いを多くの方々に話してきたが、今回深く賛同してくれた経営者、それがLIXILの藤森義明社長だ。
2011年、トステム・INAXなど5社が統合し、売上高1兆円超(当時)という、建材・住宅設備業界最大規模の会社として誕生したLIXIL。躍進を続けるその事業展開への興味もあり、ぜひお会いしたいと知人を介し、それが実現したのが約5ヵ月前。さすが米GE本社で副社長まで務めたカリスマ経営者。その威圧感に怪物を前にした子猫みたいに冷や汗をかいたが、僕も24歳で起業し、周りはすべて年上というなかで20年渡り合ってきた、経営者の端くれ。ひるむことなくフリーダムのビジョンを話し、僭越ながら、敢えて今のLIXILに必要だと思うことも指摘。そのうえでフリーダムができること、お互いの事業が結びつくことで生まれる有益性を話したところ、藤森社長が賛同。最後には「できることがあれば何でも言ってこい」との言葉までいただいた。
そしてこの9月、我が社が行う第三者割当増資をLIXILが引き受けるという形で、その言葉が現実に。今後はお互いの力をさまざまな側面で活かし、協業していく予定だ。例えば、今のLIXILに必要なのはデザイン性だと僕は考えた。それこそフリーダムの強み。年間300棟以上のデザイン住宅を手がけ、多様なニーズに応えてきた図面などの豊富なデータが蓄積されている。ウェブでも500例以上の図面をみることが可能だ。ITと全国のリアル店舗を融合させ、時代のニーズを捉えた、デザイン性の高い注文住宅のカタチを提案してきたフリーダム。そんな僕らだからこそ得てきた知識や経験を、ぜひ活かしていきたいと思う。
今は住宅業界の変革期。グリーの「セカイエ」やアマゾン「リフォームストア」など、他業種からの参入が相次ぐ家づくりのプラットフォームにも刺激を与えることができると考えている。互いのネットワークを活かすことでお客様に「まずはここへ行こう」と思っていただけるような“家づくりのワンストップ相談窓口”という、僕らが目指す形へまた一歩前進できるはず。
今回の増資はこういったフリーダム独自のビジネスモデルが業界全体の活性化につながるとLIXILが判断したからこそ。他社にはない独自の価値は企業の可能性をさらに拡げる力になる。心強いパートナーを得たフリーダム、ぜひ期待してほしい!
Text=牛丸由紀子 Photograph=柳内 悠 Illustration=村林タカノブ
■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
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