LiVES2014年12月号
〝磨けば光る〟土地はまだまだある
「フリーダム不動産流通事業部」レポート
妥協のない家づくりをサポートすべく誕生したフリーダムの不動産流通事業部。仲介手数料に固執しない画期的なサービスで、利用者も増えているという。一般的な不動産仲介とは、いったいどこが違うのか?
文=Jun Manabe 写真=Kaori Nishida
理想の家を建てたい。その前に問題になるのが土地探し。意外なことに、フリーダムに家づくりの相談に訪れる施主の8割が、まだ土地が決まっていない段階なのだという。こうした人たちに向けて、希望に合った土地を紹介するべく立ち上げられたのがフリーダムの不動産流通事業部だ。なぜ設計事務所が、土地紹介のサービスをスタートさせる必要があったのだろうか?同事業部の衣笠茂樹氏に話を伺った。
衣笠氏:私たちの土地の紹介の考え方は、お客さまと目的を一緒にすること。こう言うとなんて当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、不動産の業界では、これがとても難しいことなのです。不動産の仲介業者の収入源は、物件価格の3%の『不動産仲介手数料』です。収入を増やすことは、この部分をいかに厚くするかにかかっている。そのために、あれこれと手をつくして価格を上げようとするわけです。
LiVES:そこで目的がずれてくる訳ですね。土地に対する要望に対して実は親身になっていない。
衣笠:同じ手間をかけるなら建て売りやマンションなど、建物付きの完成品で売った方が、全体の価格も手数料も上がるし、時間もかけずに短期で売り上げになる。一方、ゼロから土地探しにつきあうとなると、提案の数も増えるし、仮に1000万円の土地を売っても手数料はほんの30万円ほど。不動産業者の営業としては効率が悪い仕事になるのです。
“土地だけ”は不動産業者が積極的に扱いたくない物件?
LiVES:土地だけの物件は、積極的に扱いたくないという傾向があるわけですね。
衣笠:意外かもしれませんが、不動産のベテラン営業マンでも、建て売りやマンションはたくさん売ってきたけれど、〝土地だけ〟の物件は扱った経験がないし、知識もあまりない、というケースは多いのです。
LiVES:そういった状態では、仮に土地があっても、そこにどんな建物が建つか、売る側がイメージできないでしょうね。
衣笠:確認のためにイメージプランを出すとなると、パターンにはめこんだだけのような、ごく平凡なプランになる訳です。逆に敷地は南向きでなくてはいけないとか、間口は広くなくてはいけないとか、間取りの発想に自由さがないことが、土地の選択肢そのものを狭めてしまう。
LiVES:結局誰もがいいと思う土地に人気が集中して、価格も上がってしまうわけですね。
設計とセットで見ることで土地の価値は変わってくる
衣笠:誰もがいいと思う土地であれば掘り出しものなんて実際はない訳です。逆になにかしらハンデのある土地でも、最初から設計とセットで考えることで、ポテンシャルを引きだすことができる。たとえば奥まった密集地でも、設計次第で十分に明るい開放的な空間をつくれますし、こうした〝訳あり〟の物件の方が、土地価格が割安というメリットもある。断りかけた土地をフリーダムの設計士といっしょに再訪して見方が変わった、本当の価値がわかったというお客様もいらっしゃいます。一見、目立たないけれど、〝磨けば光る〟土地はまだまだあるのです。
仲介手数料に固執しない純粋な土地紹介サービスが実現
LiVES:仲介手数料に固執しないサービスということですが、それはどうしてですか?
衣笠:いい土地に巡り会えないから妥協して建て売り住宅を買ってしまったなど、土地と建物の両方に満足している人が実はとても少ないのです。これはとても悲しいことですし、フリーダムの目的はあくまで家づくりであって、土地の仲介ではありません。フリーダムを訪れる人が、思いのままの家を建てたいという夢をかなえることが目的なのです。
LiVES:確かに、土地の紹介だけをする会社というのは他にありませんね。住宅の設計がゴールになったことで、手数料に固執しない土地の紹介が実現した、稀な例とも言えます。
衣笠:あまりに固定的な土地の見方をしていたために、希望のエリアをあきらめてしまう人も多いようですね。こうした方々にも、より多くの選択肢をご提供できるはずです。いろいろと試行錯誤を重ねて、ようやく私たちとお客様の満足が一致したサービスになったのです。
衣笠氏のお話を聞いて、施主と土地の仲介業者が〝目的を一緒にする〟ことの難しさを改めて感じた。妥協のない家づくりの〝第一歩〟をサポートしてくれる画期的なサービス。各事務所に連絡すれば個別相談にも応じてくれ、定期的に行われている家づくりセミナーへの参加をきっかけに、土地さがしを依頼するケースも多いという。理想の土地に巡り会えずに困っている人や、何から土地探しを始めてよいのかわからないという人も是非、利用してみてほしい。
■LiVES(ライヴズ)
デザイン住宅、デザイナーズ・マンション、リフォーム&リノベーション、建築家など、
スタイルのある住宅を手に入れるための情報誌
隔月刊誌:奇数月15日発売 発行: 株式会社第一プログレス
http://www.livesjapan.com/