GOETHEVol.10
フリーダムが考える新しいビジネススキームとは?
Text=牛丸由紀子 Photograph=西川節子 Illustration=モーリー☆ワイド
新しい家造りのプラットフォーム
フリーダムが作るサイト「にゃん・くらす」「わん・くらす」をご存知だろうか? ペットの写真を投稿し、猫好き・犬好きが情報交換をするサイトだ。でもなぜフリーダムが? 確かに僕が猫好きなので「社長の趣味でしょ?」なんて言われることもあるけれど(笑)。実はこれこそ、フリーダムが考える〝新しい家造りのプラットフォーム〞。
「標準仕様」という商品を販売するハウスメーカーは、フリーダムとは明らかに異なる。お客様ひとりひとりに合わせて家造りをするため、フリーダムには〝商品〞というものが存在しないからだ。生活の仕方や趣味嗜好、これからの家族設計などから、お客様にとって最善の家を考える。いわば家造りをライフスタイルからひも解いていくのが、僕らのやり方。そしてこれが、フリーダムの一番の強みでもあると自負している。
だからこそ、いっそう重要になるのは、僕ら自身がお客様の多種多様なライフスタイルをしっかり理解すること。そこでまず注目したのが、お客様のなかでも多い「ペット保有者」。ペット好きのお客様が猫や犬たちとどう向き合い、どう暮らしたいのかを忌き憚たんなく語り合える場づくりが必要なのでは? と立ち上げたのが「にゃん・くらす」「わん・くらす」なのだ。
もちろん会社の認知度アップのためでもある。けれど、まずは設計士自身が、お客様のライフスタイルをとことん理解し、ペットとともに暮らしたいというニーズに、適切な提案をできるようにする、これが一番の目的だ。驚くかもしれないがサイトへの広告掲載はない。収益媒体ではなくあくまでも純粋なコミュニティとして開放している。
その結果、フェイスブック「にゃん・くらす」は、なんとひとつの投稿に3万「いいね!」がつくほど活発なコミュニティに。ペットと暮らす家の設計もすでに数多く受注している。さらに今月末には、車好きのための「Car・くらす」も開始。今後は投稿だけではなく、例えば世界中のすごいガレージハウスを紹介するようなまとめサイトへも発展させたいと考えている。このような場づくりのテーマは、人間の興味があればあるだけ見つかるもの。アイデアが尽きることはないはずだ。重要なのは、設計士というプロの目線でのまとめサイトであるという、情報の信憑性だと思う。
モノを作るのではなく、〝場〞をつくる。そこで生まれるコミュニティから、お客様の真のニーズが見えてくる。一見本業から離れているようで、実は一番重要なことを手に入れられるのが、このビジネススキームだ。恐れることなく、時代に合った進化を遂げていきたい。
■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
物語を凝縮した、ライフスタイルマガジン
月刊誌:毎月24日発売 発行: 幻冬舎
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