GOETHEvol.5
Q. 家づくり、さてどこに依頼する?
Text=牛丸由紀子 Photograph=篠原宏明 Illustration=モーリー☆ワイド
夢が具体的な形になる作業が、家づくり。
僕の会社にも、多くのお客様が相談に来られるが、趣味の部屋を設けたい、変形の土地だけど眺望を生かしたい、予算が少ない……など、こだわりや要望はさまざま。
家づくりを請け負う先は大きく分けて4つある。ハウスメーカー、工務店、設計事務所、住宅プロデュース会社。自分にとって最良の選択肢はどこなのか。
例えば、ある程度の広さの土地があり、基本的な設計で満足できるなら、大手ハウスメーカーがローコスト。アフターフォローがしっかりしているのも評価が高い。ただし家に個性を求めたり、狭小・変形など土地に制限がある場合は、避けるべき。なぜなら、必要な部材を大量に作ることで、コストメリットを生みだしているから。従って、狭い土地を有効活用するための基本形を超えた設計や設備は、かなり割高になってしまうのだ。
ある程度のこだわりを持ちつつ、コストをあまりかけずに家を造りたいなら、工務店という選択肢もある。設計部門を擁す工務店もあり、コストもリーズナブルで職人的な信頼感もある。ただ、時にそのプロ意識から、力関係という面で、施工側のほうが設計側はもとより、施主より強くなってしまうことも。施主がある程度の建築知識を持ち、的確に指示できたほうがより自分の理想を形にできるはず。
では、建築知識はないが、自分の夢をとことん追いたい! というなら、〝図面のプロ〞である設計事務所の出番。設計と施工が分離しているので、施工側に寄りすぎず、純粋に施主の考えに沿った間取りを実現できる。でも実は、設計事務所といっても、住宅設計は年間5棟以下というところがほとんど。そうなると、施工する工務店などへの発言権も必然的に弱いので、住宅設計経験が豊富な事務所を探すしかない。また、アフターサービスに関しても、他に比べると手薄になることが多い。さらに建築家によっては、〝先生〞的な方もいるので、自分の家というより〝作品〞になる可能性も。
では、思いどおりの家を建てたいが、とにかく交渉などの細かいところは一括して誰かに任せたいと思うならば、最近増えている設計・施工のコーディネイトをする住宅プロデュース会社がある。ただし、仲介する分コストは上がるので、予算的に余裕のある人向きと考えておこう。
このように、メリット・デメリットは多種多様で、それを前にお客様が悩む姿をたくさん見てきた。だからこそ、僕はこれらのデメリットを払ふっしょく拭して、お客様にとって理想の形を提供するという使命を持ったのだ。僕の目指す設計事務所とは!?続きは次回で!
■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
物語を凝縮した、ライフスタイルマガジン
月刊誌:毎月24日発売 発行: 幻冬舎
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