GOETHEvol.3
Q. 都内に一戸建てを建てる時の最良の土地探しとは?
Text=牛丸由紀子 Photograph=篠原宏明 Illustration=モーリー☆ワイド
都内で環境もよく、交通至便、そこそこの広さで……。
自宅を買う、分のビジネススタイルが安定してくる30〜40代、資金も少し貯えたことだし、結婚・転職・子供の誕生などをきっかけに、さあ次は夢の一軒家!と思い立つ方も多いのでは?
でも現実はそう甘くはない。僕はこの業界に長いが、そんないい条件の土地、めったやたらと出てこないと断言していいだろう。
ならば、マンション購入という手もあるが、以前述べたように都内に購入するなら、土地&新築住宅のほうが確実に資産価値としてのメリットは大。
そんな希少な土地をどうやって手に入れるのか? 現実を見つめるために、資金面から考えてみよう。
銀行借り入れは世帯年収の6倍が基準。例えば年収1000万円なら、約6000万円の借り入れとなる。そこから建築費として仮に2000万円を差し引くと、土地に使えるのは4000万円。都内住宅地の坪単価は200万円を下らないから、約20坪が購入できる土地の広さとなる。まずは住みたいエリアの坪単価の相場を、インターネットなどで把握しておこう。これで、現実的に購入可能な土地の広さが見えてくる。
さて次のステップは不動産会社へ? いや、ここで扉を叩くのが『設計事務所』なのだ。その秘密は〝間取り〞。必要な部屋数や部屋の広さ・使い方などの希望を提示し、間取りを実際の形にしてもらう。そうすることで、自分の家に最低限必要な土地の広さが確認できる。
この間取りこそが、土地交渉の切り札に。不動産会社にとって、曖昧な条件で「何かいい土地ないですか?」と来るよりも、具体的な間取りを持って「こういう家を建てたいので、探してほしい」というお客に〝真剣度〞を感じないわけがない。
設計事務所を味方にするのは、実は銀行に対しても有効だ。最終購入地がまだ決まっていなくても、設計事務所なら想定されるエリアの仮の土地で間取りをシミュレーションして、ローン審査のための概算見積書を作成することができる。もちろん審査結果を持って、不動産会社と交渉することも可能なわけだ。
土地探しのために作られた間取りも、最終的に納得がいくまで、追求しよう。実際に僕も施主さんが納得するまで、10回以上プランを提出することも!
土地はいわばナマモノ。でも、すぐ決めてくれと言われても、何もなければ判断しようがない。ましてや、何千万円もの買い物だ。そんな時、具体的な間取りや金額のシミュレーションがあれば、決断のタイミングを逃さない。
設計事務所を利用し尽くして、賢い施主を目指すべし!
■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
物語を凝縮した、ライフスタイルマガジン
月刊誌:毎月24日発売 発行: 幻冬舎
http://www.gentosha.co.jp/goethe/