女性のための設計アドバイス
実例に学ぶ、快適ライフスタイル講座
キッチン編
日々の食事を用意するキッチンは、生活の中で大きな時間を過ごす場所。
調理器具の収納、ゴミ箱の設置場所など、より快適なキッチンの工夫をご紹介します。
Point1. 見せるキッチン
CASE 261 bitteR chocoLate cuBe
このキッチンのポイントは、上部に設置された棚。ここに素敵なオブジェを飾ることで「見せるキッチン」としました。もちろん、小物整理にも大活躍。さらに奥側の壁沿いに照明を設置し、夜には棚が照らされることで雰囲気のある素敵なディスプレイとして機能します。お客様の小物好きに合わせたこだわりポイントとなりました。
また右側の黒い扉の付近はお子様が過ごすスペース。扉は黒板になっているのでこれで遊ぶことができ、目の届く場所にお子様がいるので、安心してお料理の腕をふるうことができます。一見無駄と思えるスペースも、そこに日常の生活があると、価値あるスペースに早変わり。設計による解決実例です。
相談する中で生まれたアイデア
このキッチンのアイデアはお客様と相談する中で生まれました。打ち合わせを重ねる中で、お客様にも図面だけでは想像できない生活の場面が見えてくるので、さまざまな工夫に気が付くことはよくあることです。たとえば、こちらの黒板。奥様と私の会話の中で、「子供が見えると好きな家事も安心してできるんだけど」という一言から何気なく湧き出たアイデアでした。このようにお客様と設計士がコミュニケーションを密にして何でも話し合うことは、快適な生活を実現するためにはとても大切になります。
Point2. 調理器具を天井から吊す
CASE 315 Share House REUNION
壁に面してシンクを設置した場合は、壁沿いの棚に調理器具を吊すことができますが、対面型のキッチンの場合はそれが難しくなります。この実例では、シンクまわりをすっきり見せたいとのご要望でしたので、なおさら調理器具のスペースが確保できません。そこで天井から調理器具を掛けるためのバーを吊すことでそのお悩みを解決。使い勝手もよく、すっきりとしたキッチンとなりました。
より具体的な物を想定して設計
近年人気のオープン型のキッチンですが、毎日完璧に片付けをするのも難しい・・・。せっかくのオープンキッチンも台無しです。そういう理由から、シンクまわりの手元を隠したいというご要望もよく寄せられます。そこで大切なのは、どの程度の物を隠したいのかを、具体的に検討することです。パッと置いたグラスを隠したいのか、キッチン回りすべてを隠したいのかによって設計は変わってきます。実はあるお客様から、立て掛けたまな板を隠したいというご要望があり、まな板のサイズを測っていただき設計したこともあります。ちょっとしたことですが、綿密に設計することが必要になります。
Point3. ゴミ箱の設置スペース
CASE 279 開放性と閉鎖性のある佇まい
1階にキッチンがある場合や、勝手口がキッチン横にある場合は外にゴミ箱を置くことができますが、近年は2階にLDKを設置するケースが増えています。
そうした場合に意外と配慮を忘れがちなのがゴミ箱置き場。しかも、キッチンに置くゴミ箱は、ペットボトルや缶ビンなども含めると、かなりの大きなスペースが必要です。シンク下や棚など、収納のスペースばかりを考えるのではなく、ゴミ箱を設置する場所を用意することで、快適なキッチンづくりを実現することができます。
絶対に必要になるゴミ箱スペース
ゴミ箱置き場はゴミ箱を置くまではただスペースを確保しておくだけのイメージなので、それを「もったいない」「ここに何か収納したい」と考えられるケースがよくあります。しかし、実際に暮らしを始めると絶対に必要になるのがゴミ箱です。その置き場所を確保しておかなかったために置き場所に困ったという方も多いはず。
見栄えに問題があるとともに使いにくいキッチンになってしまうという失敗は避けたいですね。
日々のゴミの選別を楽にし、ご主人やお子様にゴミ出しをお手伝いいただくことで、家事の負担を軽減してみてください!
Point4. 2列タイプのキッチン
近年人気の2列タイプのキッチン。シンクとコンロを分けることで、夫婦やご家族みんなでキッチンを使う場合に特に使いやすくなるということが大きな特長です。
家族と会話しながら調理する対面型キッチンがさらに進化し、家族で料理を楽しむスタイルが定着しつつあります。
またこの実例は、2列タイプであるとともに、収納スペースにも工夫が施されています。棚の高さをそろえて一体感を演出する、収納する物のサイズを測って無駄なくスペースを活用するなど、細かな配慮がキッチンの利便性をより高めています。
収納スペースにも一工夫
火元には近づけたくないお子様にも、安心してシンク横でお母さんのお手伝いをすることが可能になります。たまにご主人に料理をすべて任せるとやりっぱなし出しっぱなしで結局片付けが大変・・・という奥様も、これならご主人に任せつつも一緒に片付けができますね。笑