女性のための設計アドバイス
実例に学ぶ、快適ライフスタイル講座
視線編
小さなお子様を目に付く場所で遊ばせたい、家族の所在を確認しやすいようにしたいなど、家の中で何が見え、何が見えないかという視線について考えてみましょう。
Point 1. 小さなお子様が遊ぶスペース
Case302 フレンチクラシックハウス
視線に関しては、LDKから見える場所、例えばダイニングやリビングにお子様の遊ぶスペースもしくはスタディースペースを作りたいというご要望をよくいただきます。この例では、リビングの奥をアクリルの透明なドアで仕切って遊ぶスペースとしました。空間を区切らずに遊ぶためのスペースを決めるだけではおもちゃなどがリビングにはみ出してくるのではという奥様の懸念から生まれた、見えているけど見えていないオープンな仕様です。もちろんお子様も楽しくなる要素いっぱいです。
しつけにも役立つ工夫
遊ぶ空間を仕切れば、たとえドアが開いたままになっていてもここから先におもちゃが出てはいけないという意識がお子様に生まれるのでは、というのがこのお客様の考え方でした。遊び場にちょっとした工夫を施すことで、お子様に対するしつけ面でのメリットも生まれます。またドアには格子状のデザインが施されているので、おしゃれなルックスも好評です。
Point 2. 段差の付いたLDK
Case356 E-House
LDKのリビング部分の床だけを低くしたいというご要望をよく伺います。天井を高くしたいとのことですが、ちょっとした段差があるだけでダイニングと空間が分かれて感じるという効果もあるようです。例えばお子様が食事中にも関わらずリビングに移動してテレビを見始めるといったことを、段差の視覚効果で抑制できるようになり、開放感も維持できるという工夫です。
リビングとダイニングの間をスキップで区切る仕様は、とても難しいご要望と認識されているお客様がいらっしゃいますが、1~2段程度であればそれほど難しくなく、費用もそれほどかかりません。また下のフロアがガレージであれば、天井を低くしやすいので、なおさらリビングの床を下げるという構造を実現しやすくなります。
ガレージの天井を低くしてスキップ構造を実現
あるお客様が、「リビングとダイニングを分けてほしい」という要望を持ってこられました。よくよくお話を伺ってみると、本当は「仕切りが必要」なわけではなく、単に「分けたい」という要望だけをお持ちでした。結果、段差を付けたスキップを採用しました。
お客様は、お打ち合わせをする際に、何か結論を出して参加しなければとお考えの方が多いのですが、実はそうではありません。漠然としたご要望をなんでもお話いただければ、私たち設計スタッフがお客様の本当のご要望を聞き出し、別案をご提案することも可能になりますよ。
Point 3. 吹き抜け越しに様子を確認
Case 373 Airtie House
視線について考える場合、やはりリビングの吹き抜けは話題に上りやすいものです。2階が寝室や子ども部屋であれば、リビングの様子を確認しやすく、呼び出す場合も吹き抜け越しに声を掛けることができます。家族のつながり、一体感を感じる手法でもあります。
吹き抜けに漠然とあこがれを感じられているお客様は多いのですが、視線や会話という点の実用的なメリットについても一考の価値があります。
吹き抜けの空調対策
人気の高い吹き抜けですが、空調の効率が非常に悪くなるという弱点もあります。特に冬場の暖房は効率が大きく低下します。暖気は上に貯まってしまうので、1階のLDKスペースが一向に暖まらないからです。そこでおすすめなのが床暖房。木製のフロアに床暖房を施せば、足下からぽかぽかと効率的に部屋を暖めることができます。また、床材を変えるだけでも感じ方が違いますよ。
実際にお客様が吹き抜けをご要望の際は、「現在、エアコンを使用していますか?」と質問することで、お客様の「暑い」「寒い」の体感温度を確認。ものすごく寒がりの方には、床暖房だけでは足りませんので、やはり別の案をご提案することもありますね。