新築の住宅と聞くと、総二階建ての家を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし近年は、生活動線が楽であることや管理のしやすさから平屋の人気も高くなってきています。中でもデザインに重点を置いたモダンな平屋は、人気の高い住宅の一つであるといってよいでしょう。
平屋は、デザインの自由度が高いこともあり、住む人の生活スタイルや趣味、嗜好を十分に取り入れた建築も可能です。これから平屋を建てようと考えている人へ、デザインの参考になるよう実例を紹介していきます。
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目次
平屋が今人気の理由とは?
平屋と言うと、昔ながらの和風の住宅をイメージする人もいるかもしれませんが、最近では子育て世帯にも人気があります。ここでは、平屋が人気の理由について、メリットとデメリットの観点から紹介します。
平屋を建てるメリット
平屋は段差のないバリアフリーの住宅であるため、移動の負担が少なく、高齢者や子育て世帯にとって暮らしやすい間取りです。また、人気があるとはいえ実際には二階建ての方が多いため、住宅街で個性的なデザインの住宅を建てられます。
さらに、家族の様子を把握しやすく、気配を身近に感じられる上、コミュニケーションを取りやすい点もメリットです。さらに、二階建てに比べて構造が安定しているため、地震の揺れや風にも強い傾向があります。
平屋を建てるデメリット
平屋は同じ面積の二階建てと比較して基礎や屋根部分が多いため、建築費が高くなりやすい傾向があります。また、広い土地が必要になる分、土地の購入費も高くなりがちで、都心部では広い土地が見つかりにくいことも考えられます。
上階がない平屋では垂直避難ができず、床上が浸水した際には逃げ場所を確保しにくい点も念頭に置くべきでしょう。周辺環境によっては、採光や通風を確保しにくい場合もあるため、設計時に工夫が必要です。
おしゃれでモダンな外観・内装デザインの平屋が人気!建築実例を紹介
近年はモダンなデザインの平屋が注目を集めており、デザインにこだわって家を建てる方も増えてきました。一例として、フリーダムで手がけたモダンな平屋の建築実例を10例ご紹介します。
【実例1】自然素材にこだわった和モダン
CASE680 寛か(くつろか)な平屋
平屋は、古くから日本の住宅として馴染みがあり、和風デザインとの相性も抜群です。中でも、モダンな外装や内装に和のテイストを取り入れた和モダンの平屋は、世代を問わず人気があります。
こちらの和モダンな平屋では、家の中央に大きなウッドデッキを設け、その周りを囲むように居住空間を配置したコの字型のレイアウトに。家族の暮らしを緩やかにつなぎます。内装には無垢の木や漆喰など相性のよい自然素材を使用することで、古くから伝わる日本家屋のような安らぎのある空間を実現しました。
庭に向かって設けられた大きな開口部は、採光性の向上とともに家の中と外の隔たりをなくし、ゆったりとくつろげる空間の立役者となっています。平屋ならではの高い天井も、日々の生活にゆとりと解放感を与えてくれるでしょう。
広々としたリビングは細かに用途を限定せずに活用できるため、将来的な生活スタイルの変化にも対応してくれます。プライバシーを守りつつ居住空間からダイレクトにウッドデッキへ出入りできる和モダンの平屋は、子育て世代やペットがいる家庭も満足できる心地よい住まいです。
【実例2】夜は旅館のような落ち着きがある大人の和モダン
CASE721 落ち着きのある家
平屋の住宅デザインとしては、近代的な機能性と日本伝統の「和」の要素を融合させた「和モダン」も人気です。スタイリッシュな外観に、ナチュラルさと温かみをプラスしてくれます。
平屋の住宅では、採光のために中庭を取り込むことも多く、玄関から見える緑は来客の目を楽しませるのに最適です。木材をふんだんに使った木目調デザインの大空間リビングは、家族の食事や生活を暖かく彩ってくれるでしょう。
和モダンの家では和室を設けることも多いです。中庭に面する大きな窓を備えた和室は、昼は明るく、夜は間接照明の柔らかい光に包まれた憩いの空間になります。家族のリラックススペースとしての活用はもちろん、客間や趣味の部屋としても最適です。
おしゃれさと住み心地を兼ね備えた家として、暮らしを優しく見守ってくれます。
【実例3】ナチュラルでスタイリッシュなモダン
CASE634 アトリエを持つ家
中庭を中心とした平屋は、居心地のよさと機能性を兼ね備えており、ナチュラルで開放的な毎日を演出してくれます。住空間は中庭を囲むように設計しているため、玄関ホールやリビングなど、いる場所を選ばずに庭を眺めることも可能です。中庭にシンボルツリーを配置すれば、木の成長とともに家の経年を楽しめるでしょう。
シンプルな内装ですっきりと仕上げられたリビングは、現代的でスタイリッシュな空間です。天気がよい日は窓を開けてリビングと中庭をつなぎ、吹き抜ける風を感じられます。
リビングから続くダイニングは、間仕切りこそないものの、つながりが緩やかになるよう工夫されていて安心です。外観はベージュとブラウンを基調とし、落ち着きのある和のテイストを取り入れつつも、すっきりとした端正な佇まいを実現しました。
【実例4】田園風景の広がる伸びやかな敷地に馴染むモダン
CASE671 実りの平屋
モダンなデザインの平屋は、緑豊かな地方での暮らしにもよく馴染みます。背が低く景観を邪魔しないことや、シンプルなデザインが自然と調和することが理由の一つです。白い外壁に木目調でアクセントをつけることで、温かみとスタイリッシュさを両立できます。
平屋で検討したいのが縁側です。柔らかく日差しの差し込む縁側は採光にも適しており、家族のくつろぎスペースとしてもおすすめです。縁側につながる砂利敷きの庭は、和の雰囲気を演出するだけでなく防犯にも効果的があります。
大空間のLDKを中心に据え、寝室や水回りを回りに配置することで、自然と家族が共有スペースに集まる構造にできます。LDKに面する和室は障子で仕切ることができるため、子どものおもちゃが散らばっていても急な来客に困ることはありません。
家族の空間とプライベートを両立した機能性の高い住宅です。
【実例5】懐かしさを感じる大屋根の和モダン
CASE649 光の通り道
伝統的な日本家屋の特徴でもある大屋根は、和モダンの平屋にもぴったりです。鮮やかな漆喰の白と本焼杉の黒のコントラストは重厚感のある外観のアクセントとなり、モダンな雰囲気を醸し出します。
和の趣あふれる玄関は、正面に和室を配置するといったこだわりのレイアウトです。和室は襖と障子に囲まれた本格的なつくりで、大切なお客様のおもてなしにも活躍してくれるでしょう。
リビングとダイニング、和室は緩やかにつながっており、ワンフロアならではの解放感があります。一方、リビングとダイニングの天井高には段差が設けられており、メリハリのある空間です。
高級な隠れ宿を思わせるバスルーム周りは自然素材にこだわった内装です。暖かみのある床材は素足の心地よさを実感できるでしょう。すべての内装を上品に仕上げることで、こだわりのある個性的な家具や和風のインテリアも自然に調和します。今後、変化するであろう生活スタイルにも柔軟に対応できる、機能的な住まいです。
【実例6】閑静な住宅街に佇むシンプルかつクールなモダン
CASE711 「遊」・「作」
平屋の大きなメリットの一つが、デザインへのこだわりを反映しやすいところです。ホワイト系の金属サイディングを利用することで、外観が引き締まりクールな印象に仕上がっています。
目の前に中庭が配置されている玄関は、開放感のある明るい空間です。LDKと居室、水回りは中庭を中心に配置されており、採光が確保されています。夜間もダウンライトで照らされており、薄暗さを感じさせません。
居室やLDKは、白い壁に木目調の床を採用し、明るく暖かい雰囲気に調節されています。洗面所やトイレはグレーの床や黒の洗面ボウルを配置してアクセントを付けました。明るいながらスタイリッシュな印象です。
平屋独特の「横に広い」大空間を生かし、洗練されたデザインのなかで4人家族がのびのびと暮らせる家となりました。
【実例7】居棟とガレージが分かれた立体感のあるモダン
CASE698 「景の家」
居棟とガレージを別で設けることで、通行人からのプライバシーを確保しつつ、敷地の奥行きを演出しています。外壁の素材を揃えることで、家全体の外観に調和を持たせました。
豊かな植栽が迎える中庭を抜けて中に入ると、奥に広々と伸びる玄関土間が位置しています。扉や棚に木を採用すれば、無機質になりがちな土間の玄関もナチュラルさをプラスできます。汚れても掃除のしやすい土間は、趣味のスペースを兼ねることも可能です。
LDKには中庭に面した大開口が設けられています。シンプルになりすぎることもある白い空間に、床や階段の素材に木を使うことで、明るくスタイリッシュでありつつも優しい暖かさのあるスペースになりました。
【実例8】建物に広がりを感じられるシンプルモダン
CASE685 flat scale
グレーの外壁材をふんだんに使用することで、白ベースのオープン外構とコントラストを演出できます。周囲の開けた土地と、四角形の奥行きある建物が調和し、立体的で広がりを感じるデザインになりました。
内部は玄関を中心に左右に分かれる構造です。クールな外装とは対照的な明るくナチュラルなデザインとなっています。
土地が広く奥行きのある構造の平屋は、空間を生かして内部に開放感を持たせられることが特長です。奥に伸びるカウンター型のダイニングテーブルが広さを演出し、大開口から注ぐ光が家族の暮らしを照らします。
各部屋の収納は、すっきりと使えるよう工夫されており数も豊富です。住む人に寄り添い、デザインと実用性を両立させた住まいとなっています。
【実例9】明るい光を取り込むナチュラルモダン
CASE661 環(めぐる)いえ
家の中心に中庭を設けることで、各部屋への採光がしやすくなります。中庭を建物で囲むような構造を採用することで、プライバシーを確保しつつ明るい光を取り込めるようになりました。
内部は床と天井に木材を採用することで、ナチュラルでリラックスできる雰囲気にできます。LDKはひと続きですが、キッチンの壁とダイニングはタイルとコンクリート調の内装にしてメリハリをつけました。これにより、広さを損ねることなく空間を分けています。
ウッドデッキの広い中庭は、子どもが走れるほどのスペースを確保した空間です。LDKの引き戸を開けるとすぐにアクセスできるため、くつろぎながらの子どもとのコミュニケーションや、外での食事にも活躍できます。
中庭を中心に据えて輪のようにつながる家は、家族の気配を感じる安心の住宅です。お互いを見守りながら、のびのびとした暮らしが実現できるでしょう。
【実例10】平屋の格好良さを追求したモダン
CASE515 WALL
建物のデザインにこだわれることも平屋の強みです。壁が飛び出すような個性的なデザインは、平屋の格好良さを追求して生まれました。それぞれ異なる外壁材で色分けされた、遊び心のある外観です。
個性的な外観とは裏腹に、内部は広々と落ち着いた内装となっています。LDKは木材と白い壁、黒色の天井を採用しています。木のナチュラルさと、アクセントである天井のブラックのクールさが絶妙に混ざり合った、こだわりのデザインです。
LDKは側面に大開口を設けて採光を確保しているため、日中は電気を付けなくても明るい空間です。引き戸を開ければ中庭にすぐにアクセスできます。平屋ならではのこだわりが詰まった住まいです。
モダンなデザインでまとめた平屋の間取り3選
ここからは、実際にモダンなデザインの平屋の間取り例を紹介します。平屋の建築を検討する際にお役立てください。
【L字型】ゾーニングによってプライバシーに配慮した間取り
LDKと水回り・個室をL字型の別方向に配置した平屋の実例です。人が集まるLDKと、水回りや個室をゾーニングすることで、プライバシーを確保しています。また、玄関が中央にあり、導線が効率的に設計されています。
【L字型】ガレージからLDKへ直線でつながる間取り
LDKを中心に、水回りや個室、ガレージが配置された平屋の間取りです。ガレージから玄関、LDKが直線でつながっており、移動がしやすい点が特徴です。全体的にはコンパクトながら、和室を含む充実した間取りに仕上がっています。
【L字型】水廻りにアクセスしやすい間取り
LDKと個室の間に水回りの設備をまとめたL字型の平屋です。LDKと和室、プライベート空間が区切られており、メリハリのあるレイアウトになっています。玄関から各部屋への移動距離が短く、効率性が高い点も特徴です。
【コの字型】気兼ねなく来客を招ける間取り
玄関を挟んでLDKと個室、畳のある部屋を分けた平屋の間取りです。来客時に、プライベート空間を通ることなく玄関から和室へ直接案内できます。また、各部屋に窓を設けて採光を確保している点もポイントです。
【コの字型】広々としたLDKを中心とした間取り
LDKを中央に配置したコの字型の平屋です。広々としたLDKから個室、水回りへと接続しており、家族を身近に感じられるでしょう。
【コの字型】店舗と住居を分けた間取り
店舗と住居を兼ねた平屋の間取りです。玄関の左右でスペースを区切っているため、メリハリのある生活ができます。また、ウォークインクローゼットを店舗と住居の間に配置しており、音や気配が気になりにくい点も特徴です。
おしゃれな平屋を建てるときのポイント
おしゃれな平屋を建てるときは、いくつか抑えておくべきポイントがあります。重要な注意点を二つ紹介します。
好みのスタイルに合わせてカラーを選択する
おしゃれな住宅をデザインする上で、色の選び方や組み合わせは重要なポイントです。複数の色を使う場合には、配色の黄金比と言われる「ベースカラー75%・メインカラー25%・アクセントカラー5%」を意識すると良いでしょう。
取り入れる色を決めた後に、色のトーンを合わせることで洗練された印象に仕上げることが可能です。また、ホワイトやブラックなどのモノトーンを採用すると、クールで都会的なテイストになります。
ホワイトに、木材のブラウンや植栽のグリーンを組み合わせれば、ナチュラルモダンな建物が完成します。希望のスタイルに合った配色を選ぶことで、理想とする住宅を実現できるでしょう。
陸屋根や片流れ屋根など印象的な屋根の形状を取り入れる
平屋は二階建てに比べて建物が低く、屋根が視界に入りやすいため、家の印象を左右します。屋根の形状にはさまざまなものがありますが、周囲からの見え方を踏まえた上で検討すると良いでしょう。
陸屋根は、無駄がなくシンプルで、都会的な印象を与えます。また、片流れ屋根も直線のデザインがスタイリッシュなため、モダンでおしゃれな平屋に最適です。
いずれも和モダンからナチュラルモダンまで幅広いスタイルに合わせやすく、建物の形状や間取り、希望の種類などで選ぶことをおすすめします。
計画的に収納を確保する
モダンでおしゃれな平屋は、室内がすっきり片付いているからこそ、洗練された雰囲気が際立つ間取りです。そのため、収納を使いやすい位置に設けて、細やかに物をしまえるように計画すると、物が散乱した状態を防げます。
できるだけ生活する様子を具体的にシミュレーションし、家具や設備の配置を固めた上で、どこにどの程度の収納が必要かを考えましょう。
外観や内装のイメージを写真で伝える
「おしゃれな平屋」といっても、人によって好みは異なります。そのため家を建てる際は、設計者とのイメージの共有が大切です。完成像のイメージに差があると、理想の家にならないかもしれません。
イメージの相違をなくすために、写真の活用がおすすめです。InstagramやPinterestなどを使い、イメージに近い家を探して共有すると、より伝わりやすくなります。また、ハウスメーカーや建築事務所の建築実例から好みの写真を集めるのもおすすめです。
モダンな平屋の家に住もう!
昨今のモダンな平屋には、伝統の住まい方と現代の生活様式を融合させた魅力があります。大人も子どもも、世代を超えて自分と家族の生活を楽しめる家を建てたいと考えるのなら、平屋は選択肢の一つとなるでしょう。
おしゃれでモダンな平屋のデザインは豊富にあります。紹介した建築実例を参考に、家族が幸せに暮らせる理想の家を考えてみてください。
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この記事を書いた人
FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。