CASE661 環(めぐる)いえ
近年、ますます核家族が増えつつある上に、1世帯の人数が減ってきたことや、おしゃれな居住空間を楽しみたいなどの理由から、平屋の注文住宅の人気が高まっています。
ゆったりと開放的な空間を楽しめるのが平屋のよいところですが、そのほかに一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
本記事では、平屋の機能面や購入後の生活などの観点から、そのメリットを紹介すると同時に、購入後にこんなはずじゃなかったと後悔しないよう、そのデメリットについても解説していきます。あわせて建築実例もご紹介しておりますので、ぜひご参照ください。
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目次
究極の選択!終の棲家にするならどっちが理想?
憧れの新築戸建ですが、終の棲家として住むなら平屋と2階建て、どちらの人気が高いと思いますか?アンケートの集計結果を見てみましょう。
【質問】
終の棲家にするなら平屋と2階建てのどちらを選びますか?
【回答数】
平屋:103
2階建て:47
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 –
調査期間:2017年03月21日~2017年03月27日
有効回答数:150サンプル
終の棲家… 憧れはやっぱり平屋
アンケートの結果、平屋がいいという人が大半であることがわかりました。
◆土地面積があるなら平屋建てにしたいです。贅沢な建て方で広々と使える点と全体バリアフリーにする事が可能なので、高齢の家族も安全に暮らせそうだからです(30代/女性)
◆高齢者になると階段を上るのがきつくなると思うから(30代/会社員/男性)
平屋と回答した人の多くは、老後の生活を見越しているようでした。それでは、2階建てと答えた人の意見も見てみましょう。
◆狭い土地でもたくさんの部屋が作れそうだから。(20代/会社員/男性)
◆現実的にそんなに広い土地は手に入れられないと思うので、平屋では生活空間が狭くなってしまうから。(40代/女性)
2階建てと回答した人は、住居空間や収納スペースなどそれぞれ目的は違いますが、なるべく土地の広さが決まっている中でも居住空間を大きくとるためには、2階建てにしたいと考えているようです。
平屋を希望する人は、理想として高齢になった際にもゆとりのある生活をしたいと考える傾向にありました。2階建てと回答した人はスペースの確保以外にも、住み慣れているからという回答も多数見受けられ、実際の生活環境と照らし合わせて考えているようです。
それでは、平屋を建てる際、生活をしていく際に生じるメリットやデメリットを見ていきましょう。
平屋のメリット7つ!
平屋は昔ながらの日本家屋のイメージがありますが、近年若い子育て世帯からも人気が高い住宅です。ここでは、平屋のメリットを7つ紹介します。
①家族間のコミュニケーションが取りやすい
平屋は同じフロア内にすべての生活スペースが収まることになります。そのため、家族で顔をあわせる機会が多くなり、コミュニケーションが取りやすくなるのがメリットです。
さらにコミュニケーションを取りやすくするには、リビングダイニングを広くしたり対面キッチンにしたりするのがおすすめです。
②2階建てより構造的に安定しやすい
地震大国である日本に住んでいる以上、住居の耐震対策は必須です。耐震性を考える時に重要なのは建造物の重量です。重量が重いほど地震が発生した時の揺れも大きくなります。
その点、2階建てと比べて平屋は重量が軽くなりますから、地震に強い住居であると言えるでしょう。
③階段部分のスペースを有効活用
2階建て住宅の場合、一般的に階段やそのホールに必要なスペースは4帖から5帖分と言われています。平屋は1階しかありませんので、階段を作る必要がありません。
4帖から5帖ほどのスペースがあれば、書斎にしたり寝室にしたりさまざまな使い道が考えられます。
④メンテナンスしやすく費用も安く済む
住宅というのは新築を購入したら終わり、というわけではありません。定期的なメンテナンスが必要です。住宅を長持ちさせるためには、まず普段からこまめに掃除をすることが大切です。コンパクトな平屋なら掃除をするのも2階建てほど大変ではありません。
また業者によるメンテナンスの場合、2階建てだと足場を組む必要がありそのぶん費用がかさみます。その点から見ても、平屋はメンテナンス費用を安く抑えることができるでしょう。
⑤バリアフリーの平屋で安心の老後
若いときは平気でも、高齢者になると少しの段差が転倒やケガのもとになります。もともと階段のない平屋をバリアフリー設計で建てれば、終の棲家として老後も安心して暮らせるでしょう。
⑥2階部分がないため天井高を自由に設定できる
平屋は2階部分がないため、屋根下にあたる小屋裏を有効活用しやすいというメリットがあります。収納やベッドスペースとして活用すれば、室内をより有意義に使えて、生活の幅が広がります。
収納が必要ない場合には、勾配を付けて天井高を高くすることで、解放感のある間取りにすることも可能です。土地の条件にもよりますが、できるだけ南側の軒を深く取ると、夏は太陽光による熱を抑えられ、冬は穏やかな日差しによって室温を調節しやすくなります。
⑦生活動線や家事動線が効率的になる
平屋はワンフロアのため、生活動線や家事動線が効率的です。間取りにもよりますが、2階建てでは片付けや掃除、洗濯などで上下移動が含まれます。
一方、平屋ではすべてが同じフロアにあり、平行移動だけですべての部屋に行き来できます。洗濯やトイレなどで階段を上り下りする必要がなく、掃除も短時間で済ませられるといったメリットも期待できるでしょう。
平屋のデメリット5つ!
平屋にはメリットだけではなく、人によってはデメリットに感じてしまう部分もあります。ここでは平屋のデメリットを5つ紹介します。
①工事にかかる坪単価が高くなりやすい
坪単価とは、1坪あたりにかかった建築費のことです。同じ床面積の平屋と2階建てで比較すると、基礎部分の面積は平屋の方が広くなります。すなわち、基礎工事に必要な面積が2階建てよりも広くなるため、坪単価が上がってしまうのです。
屋根に関しても平屋のほうが大きくなるため、やはりその分だけ費用はかさみます。
②部屋数を増やすには広い敷地が必要
4つの部屋がほしい場合、2階建てなら1階と2階にわけて部屋を作ることができます。しかし、平屋の場合は同じフロアに部屋を作るためより広い敷地が必要です。
特に土地代の高い都心の場合は、希望の間取りを叶えられる広さのある土地の購入が、課題となるかもしれません。
③プライベートの確保が難しい
平屋のメリットのひとつに、家族間でのコミュニケーションが取りやすいことがあります。しかし逆を言えば、お互いのプライベートを確保するのが難しいというデメリットにもつながります。
限られた面積でプライベート空間を確保するには、リビングと個室を離れた位置に作るなどの工夫が必要です。
④陽当りの確保が難しい
平屋建てで建築面積が広くなればなるほど、建物中心部は陽当りが悪くなってしまいがちです。細長い形状の建物にして、どの部屋にも窓を設けられるなら良いですが、建物中心部が他の部屋に囲まれてしまう形状の場合、採光と通風に配慮する必要があります。
たとえば、中庭を設ける、あるいは天窓や高窓を配置するなどの工夫が有効な対策になります。
⑤防犯のうえでは不安
1階フロアに大きな窓を構える平屋の場合、プライバシーの観点からはもちろん、防犯面でも注意が必要です。
窓を割るのに手間のかかる二重ガラスにする、防犯フィルムを貼る、センサーライトを設置するなどが効果的です。
平屋との違いは?2階建てやマンション・アパートと比較
ここで、平屋と2階建てやマンション・アパートがどのように違うのか、具体的に紹介します。平屋のメリットとデメリットを踏まえ、どのタイプが自宅に適しているのかを検討するために参考にしてください。
平屋と2階建ての違い
平屋と2階建てとでは、階段の有無や建築費用などが異なります。平屋はワンフロアのため生活動線が短くなり、コンパクトな暮らしが可能です。シンプルな動線を確保しやすく、小さい子どもや高齢者がいる場合でも生活における負担を軽減しやすいでしょう。
平屋と2階建てで同じ延床面積の建物を建てる場合、ワンフロアのみの平屋の方が費用が高くなる傾向にあります。コストがかかる基礎部分や屋根の面積が大きいからです。
エリアによって土地の価格は大きく変わります。予算内で希望する広さの土地を購入できるかも検討する必要があるでしょう。
平屋とマンション・アパートの違い
平屋とマンションやアパートでは、いずれもワンフロアなため同じような生活ができるイメージかもしれません。ただ、建物が独立しているかどうかで生活への影響は変わります。
平屋は1つの建物であり、マンションやアパートと比べると隣の部屋の騒音や振動が気になりにくい傾向にあります。また、平屋の場合は間取りの自由度が高く、屋根の形や天井高、ロフトの設置、部屋の広さなども希望に応じて選べます。
さらに、平屋は自分の敷地内で庭をつくることができ、家庭菜園やガーデニングなどを自由に楽しむことが可能です。建て替えやリフォームも要望に応じておこなうことが可能です。
一方、マンションやアパートは集合住宅なため、用意されている間取りの中から選ばなければなりません。建て替えはもちろん、自由なリフォームも難しいでしょう。
平屋はどんな人に向いている?特徴を紹介
平屋は生活導線の効率やコンパクトさなど、2階建てにはないメリットがあります。また、マンションやアパートに比べて、住宅デザインや土地の使い方に関する自由度が高い点も特徴です。
ここでは、平屋がどのような人に向いているかについて解説します。
老後を見据えたバリアフリーの住宅に住みたい人
平屋は階段がなく、ワンフロアのためバリアフリー住宅を検討している人におすすめです。車イスを利用している人や、年齢を重ねたときに段の昇り降りが不安な場合にも安心でしょう。親世帯と同居する二世帯住宅として平屋を選ぶ人もいます。
階段のある2階建てや3階建ての住宅でバリアフリー化したい場合、室内を完全に変えることは難しく、大規模な工事が必要になる可能性があります。平屋は最初からフラットなため、バリアフリー対応もスムーズに行えるでしょう。
段差のない安心・安全な住宅で子育てをしたい人
階段のない平屋は、小さな子どもが転落する不安が少なく、若い子育て世帯にも人気があります。家事をするために2階に上り下りする必要がなく、生活する上での負担も軽減されています。
また、平屋では床面積を効率良く確保する上で、廊下などを極力省き、リビングを中心とした間取りを使用するケースがよくあります。リビングが家族の集まるスペースとなるため、家族とコミュニケーションが取りやすい点も人気の理由の一つです。
夫婦だけでコンパクトな暮らしがしたい人
平屋はワンフロアのため、生活動線や家事動線がコンパクトにまとまります。そのため、夫婦や単身の人にとって、ちょうどいい大きさの家を建てることができます。
また、「ミニマリスト」という言葉が広まり、モノに溢れた生活よりもミニマルな生活を好む人も見られるようになりました。持ち物を減らして暮らしたい人にとっても、スペースを有効活用しやすい平屋がおすすめです。
関連記事:シンプルな平屋の間取り実例 コストを抑えた効率的でおしゃれな家
自然を身近に感じたい人
平屋は屋外に出やすいため、自然を楽しみたい人に適した住宅といえます。すべての部屋が地面と近く、自然を身近に感じられる家が実現します。
また、ガーデニングや家庭菜園で花や紅葉を眺められる庭をつくることで、四季折々の自然を通じた豊かな暮らしを楽しめるでしょう。芝生を整備すれば、子どもやペットが走り回って遊ぶことが可能です。
加えて、地震や火災などの緊急事態にも、すぐに外に避難できるという安心感もあります。
平屋に関するQ&A
ここまでの内容を踏まえ、平屋を建てることに興味がある方から多く寄せられるであろう質問について、Q&A形式でまとめました。わかりやすく解説するので、平屋を建てる際の参考にしてください。
平屋にすることで税金のメリット・デメリットはある?
まず、平屋にすると税金面ではデメリットになる場合がある点に注意しなくてはいけません。前提として、家を取得したら税金として消費税、印紙税、登録免許税、不動産取得税の4つがかかります。また、家を売らない限りは、固定資産税を毎年払わなくてはいけません。
そして、同じ面積の2階建を建てた場合と平屋を建てた場合を比較すると、より広い土地が必要な平屋の方が固定資産税は高くなります。なお、登録免許税や不動産取得税も固定資産税評価額に基づいて計算する以上、平屋のほうが高くなりがちです。一方、契約価格が同じであれば、印紙税、消費税は平屋でも2階建でも変わりありません。
平屋にすると光熱費はお得になる?
平屋のメリットとして、光熱費を抑えやすいことが挙げられます。2階建てに多いリビングに階段がある間取りはおしゃれですが、冷暖房効率が悪くなりがちです。部屋を冷やしたり、暖めたりする際も、出力の強いエアコンを長時間かける必要があるため、電気代はかかります。
しかし、平屋にはそもそも階段がないため、このような心配は無用です。暖房効率が良くなる分、光熱費も抑えられます。また、大きな屋根を活かして太陽光発電をすれば電気代が抑えられ、余った電気は売電することも可能です。自分たちで電気を賄えるうえに、副収入も得られるので前向きに検討する価値があるでしょう。
新築の平屋を建てる建築費用はいくら?
新築平屋の坪単価は80万〜100万円といわれています。35坪の平屋なら2800万〜3500万円くらいと考えられますが、地域やデザイン、建材、設備のグレードによっても上下するのが実情です。
一般的には延べ床面積が狭い方が安くなりますが、予算を抑えたいがためにあまりに土地に対して面積が狭い家を建てるのは現実的ではありません。結局住み心地の悪さを感じ、増築や引っ越しを検討する事態もありうるからです。
デザインや建材や設備のグレードを下げることで予算を抑えることもできるので、経験の豊富な建築事務所に相談し、納得がいく平屋を建てましょう。
平屋を建てるときの注意点
CASE686 桜並木の平屋
平屋にはさまざまなメリットがありますが、実際に平屋の住宅を建てる際には注意したいポイントもあります。ここでは、平屋を建てる際に気をつけたい主な2つの注意点を紹介します。
平屋に適した土地を選ぶ
平屋のワンフロアに必要な部屋分の床面積を確保するためには、十分な土地の広さが必要です。また、土地の形や向きによっては理想の間取りが実現できない可能性もあるため、適した形の土地を選ぶことが大切です。
さらに、住宅に面する道路の交通量や人通りをチェックしたうえで、プライバシーを確保できる間取りを考える必要があります。また、大雨や洪水の際に浸水する不安がないか、ハザードマップや地盤も確認しておくといいでしょう。
平屋の建築実績が豊富な設計事務所に依頼する
平屋にはメリットもデメリットも存在します。対策を考慮するために、建築実績の豊富な設計事務所に相談しましょう。
平屋の場合、天井高を自由に設定できる分、外観デザインや間取りの自由度が高くなります。希望する住宅を建てやすいと思われがちですが、風通しや採光を確保するためには工夫が必要であり、好きなデザインが実現できるとは限りません。理想の平屋住宅をスムーズに建てるためにも、実績のある業者に依頼することが大切です。
デメリットを克服した平屋の建築実例
平屋はメリットがたくさんある反面、デメリットもあるのが事実です。しかし、フリーダムアーキテクツデザインはこれまで、多様な工夫を凝らしデメリットを解決した平屋を多く手掛けてきたので、一例を紹介します。
2つの庭を配置し、光と風が通り抜ける平屋
CASE649 光の通り道
LDKに隣接して2つの庭を配置した家を紹介します。LDKを2つの庭に面する構造にすることで、雰囲気の違う景色が楽しめる、自然の豊かさを感じる家になりました。
プライバシーの観点から、外観にはコンクリートの目隠しや黒い壁を設けて目立たなくなっているため、一見閉鎖的に感じるかもしれません。しかし、家の内部には開口部を多く設けているので、光が多く入り、外が見渡せる開放的な家に仕上がっています。
細長い形状を活かし、空間ごとに天井高を変化させた平屋
CASE437 LG
英語の「LONG」を意味する「LG」という名前が付いた、細長い形状を活かし、空間ごとに天井高を変化させた平屋を紹介します。白でまとめられた外観は、高さの違う立方体を組み合わせたような不思議な形が特徴です。
間口6メートル×奥行き30メートルという長細い路地に建てた平屋であるため、奥行きを出すためにアーチ壁を使うなど、さまざまな工夫が凝らされています。
また、内装は白、木目、グレーなど落ち着いた色でまとめましたが、トイレの壁は青にするなどアクセントカラーも使いました。
中庭を囲む多様な空間のある平屋
CASE228 ワンストーリーハウス
英語で1階建ての家を表す「ワンストーリーハウス」と名付けられた、中庭を囲む多様な空間のある平屋を紹介します。正方形の敷地に、中庭を囲む形で高さの異なる部屋を配置しました。各部屋の窓の巾や高さ、トップライトも部屋ごとに変化をつけて、それぞれの部屋ならではの魅力がある家に仕上がっています。
家族のくつろぎの場としても活用できるよう中庭にはウッドデッキや芝生をしつらえました。
その他の平屋の建築実例
平屋のメリットを活かして理想の住宅を建てよう
メリットとデメリットは裏表の関係にあります。人によってメリットであることが、ほかの人からするとデメリットに思えることもあるでしょうし、またその逆もしかりです。もしデメリットに感じることが多かったとしてもきちんと対策をすれば、平屋のメリットを十分に活かすことができます。
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この記事を書いた人
FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。