ENGINE2015年8月号
立地はこうして活かす!
FREEDOMが教える
自分だけの“ガレージハウス”のつくり方
個人のライフスタイルにあわせた家づくりで話題のフリーダムアーキテクツデザイン。そんな彼らが、異なる立地条件の中で考案した、3つのガレージハウスのアイデアを紹介しよう。
注文住宅の魅力は、部屋の数や配置、窓の大きさや位置などを、家族構成や各家庭のライフスタイルにあわせて、自由に決められることにある。そのメリットは、たとえばガレージハウスのような、趣味性の高い家をつくる際に最も現れる。何台分の駐車スペースが必要なのか、クルマを家のどの場所から、どのように見えるようにしたいのか、あるいはクルマの種類や色にあわせて、家全体の雰囲気をどのようにまとめていきたいのか、等々。各人の嗜好や状況に応じたより細かな家づくりができるからである。
もちろんどんなガレージハウスをつくるにも、敷地の広さやロケーションといった制約は存在する。そうした現実的な問題を克服し、時に利点に変えていくことのできる引き出しの多さが、注文住宅を手掛ける設計士には欠かせないのだ。では様々な制約や条件をプラスに生かした、理想のガレージハウスとはいかなるものなのか? その具体例として、フリーダムアーキテクツデザイン(以下FREEDOM)の設計士が考案した、3つのガレージハウスを紹介する。
吹き抜けというアイデア
完全独立系の設計事務所の中では国内No.1(2014年度の住宅設計数は約320棟)の実績を誇るFREEDOM。その設計スタッフたちが常日頃から考えているのは、本来は外界から閉ざされている個人の住居に、どのようにして光や風、景色といった自然の要素を採り入れていくか、ということである。
まずは都市部に家を建てようと考えた場合、敷地が狭く、両サイドに隣の家が近接して建っているケースが多い。光を採りこむために窓を大きく取ろうにも、外部から丸見えになり、プライバシーが確保しにくくなる。この問題を解決するのが、一つ目のガレージハウス。建物側面の窓を少なくする代わりに、吹き抜けの中庭をつくり、建物の上から光や風を内部に採りこもうというアイデアだ。1階に置いた愛車も、明るい中庭越しに各部屋からいつでも眺めることができる。
平屋のガレージハウスは、広い敷地が確保できる場合のプランだ。最大の特徴は、ガレージと住居の間に中庭を設けたこと。中庭を挟むことで、リビングの窓からは常に自然光が差し込み、プライバシーが守られながらも、ソファからゆったりと愛車を眺めることができる。
そして3つ目のパターンが、傾斜地を活用した、上段右のガレージハウスである。傾斜地の向こう側は眺望が開けていることが多いので、大きな窓を設けることで、外に広がる景色を家の中に採りこむことができる。またリビングの反対側にクルマ用のスペースを設けることで、住人は自然のみならず、クルマとの一体感も味わうことができるのだ。
クルマを置いておくだけの家ならば、ハウスメーカーがつくる規格住宅でも十分である。だが気持ちのいい光や風、景色を楽しみながら、愛車の存在を身近に感じることのできるガレージハウスは、注文住宅だからこそ可能な最高の贅沢である。
■ENGINE(エンジン)
「エンジン、それは前に進む力」を合い言葉に21世紀のあらゆる
根本問題に意欲的に取り組む、男の新しいライフスタイル誌
月刊誌:毎月26日発売
発行:新潮社
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