CASE671 実りの平屋
平屋に吹き抜けを作ることで、開放的な空間を生み出しつつ、採光性や通風性も確保できます。一方、デメリットもいくつか発生するため、メリットと併せて知っておきたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、吹き抜けの基礎知識を踏まえつつ、平屋に吹き抜けを作るメリット・デメリットと後悔しないためのコツについて解説します。また、フリーダムアーキテクツの建築実例も紹介するので、ぜひご一読ください。
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目次
勾配天井なら平屋に吹き抜けを演出できる
CASE622 fit
吹き抜けとは、下階の天井と上階の床を設けず、複数の階層を縦方向へひと続きにしている空間のことです。主に2階建て住宅の玄関やリビング、マンションのエントランスホールなどで導入されています。
平屋には2階以上の階層がありませんが、勾配天井を採用することによって吹き抜けと同じ効果が見込める空間を実現できます。勾配天井とは、屋根の勾配・形状に沿って傾斜をつけた天井のことです。
勾配天井を取り入れると、同じ空間内でも天井の高さに差が生じます。その高低差を活かせば、平屋でも縦方向に伸びる吹き抜けのような空間を演出することが可能です。
また、平屋は2階建て住宅と違って高さ制限を受けにくいので、天井の高さを調整しやすいことも強みといえます。勾配天井をうまく活用し、平屋の開放的な空間を手に入れましょう。
なお、2階建て住宅における吹き抜けの建築実例は、以下の記事で紹介しています。
吹き抜けのあるリビングのインテリアと間取りを建築実例付きで解説!
平屋に吹き抜けを作るメリット
CASE411 軒の家
平屋に吹き抜けを作るメリットは、以下の通りです。
・開放的な空間を生み出せる
・インパクトのあるデザイン性の高い空間になる
・高い位置から光を採り入れることができる
・風通しを確保できる
・天井高を利用してロフトを作ることができる
なんとなく吹き抜けに憧れている方もメリットを押さえて、実際に作るべきかどうか判断しましょう。
開放的な空間を生み出せる
平屋に吹き抜けを導入すれば、部屋全体にさらなる開放感を生み出せるようになります。ワンフロアだけで完結する性質上、平屋はどうしても面積が限られてきますが、吹き抜けによって天井を高くすることで、実際の面積より空間が広く感じられるようになるのです。
特に家族が集うリビングや圧迫感が生じやすい玄関に吹き抜けを作れば、開放的で過ごしやすい空間に仕上げることができますよ。
インパクトのあるデザイン性の高い空間になる
リビングや玄関に吹き抜けを設けた場合、おしゃれで見た目にもインパクトのある空間になりやすいため、住宅のデザイン性を向上させることが可能です。勾配天井を取り入れると、一つの空間内において天井の高低差が生じるので、メリハリのあるダイナミックな空間に仕上げることができます。
また、勾配天井は傾斜角度のつけ方によって印象が大きく変わるため、空間の個性を演出しやすいこともメリットです。
高い位置から光を採り入れることができる
マンションやビルが周辺に立ち並ぶ都市部で平屋を建てる場合、北側に面した部屋は日当たりが悪くなりやすいので、少し暗くなってしまう可能性もあります。
しかし、勾配天井による吹き抜けを作ったうえで、採光用の天窓や高窓を設置すれば、高い位置から自然光を採り入れやすくなるため、より明るい空間を実現することができます。
特に壁や間仕切りが少ない平屋であれば、吹き抜け部分から採り入れた自然光が部屋全体へ広がるので、暗くなりやすい場所も明るさを保つことができます。
風通しを確保できる
吹き抜けを取り入れることで、風通しの良い平屋になります。
通風性や通気性を確保するためには、室内に風の出入口を作ることが大切です。例えば、一方の壁に窓を設置したうえで、その反対側の壁にも窓を設置すれば、風が通りやすくなります。
また、暖かい空気は冷たい空気より軽いので、天井に向かって流れやすい性質を持っています。吹き抜けを作った場合、新鮮な空気が低い位置にある窓から入り、室内の暖かい空気は上部に流れて天窓や高窓から出ていくため、空気を循環させることが可能です。
天井高を利用してロフトを作ることができる
吹き抜けを用いて縦方向に空間を広げると、天井を高くした分だけ余剰スペースが生まれるため、ロフトやスキップフロアを作ることも可能です。
ロフトは建築基準法にて天井高が1.4m以下、床面積が直下の部屋の1/2未満とスペースと規定されています。天井が低いので、主に収納スペースとして活用できるでしょう。
また、ロフト部分は建物の延べ床面積に含まれないため、容積率の問題から部屋を広げにくい土地でも、スペースを有効活用しやすいこともメリットです。
一方、スキップフロアは下階と上階の間に設けるスペース(中二階)のことです。こちらは延べ床面積や階層としてカウントされますが、天井高の制限はないので、ワークスペースやプレイスペースとして活用できます。
平屋に吹き抜けを作るデメリット
平屋の吹き抜けには、以下のようなデメリットも存在します。
・冬に寒さを感じることがある
・光が入り過ぎる場合もある
・メンテナンスや掃除がしにくい
・音やニオイが気になりやすい
見た目に憧れて吹き抜けを作ると、デメリットが原因で後悔する可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。
冬に寒さを感じることがある
風通しのメリットの項目でも述べた通り、暖かい空気は冷たい空気に比べて軽く、上部に流れやすい性質があります。平屋は上階や階段がなく天井も低くなっている分、暖かい空気が上昇しにくく低い位置に留まりやすいため、冬でも寒さを感じにくい住宅です。
しかし、平屋に吹き抜けを作った場合、天井が高くなった分だけ暖かい空気も上昇しやすくなります。さらに、上部から冷たい空気が下部へと流れてくるため、結果的に寒さを感じやすくなってしまうのです。
また、暖房で暖かい空気を送り出しても上部に逃げてしまうので、暖房効率が低下しやすいこともデメリットといえます。設定温度を上げると消費電力も増えるため、電気代に注意しなければなりません。
光が入り過ぎる場合もある
吹き抜け部分に窓を設置すれば、自然光を採り入れやすくなるので、部屋が明るくなります。しかし、夏場に強い日差しが降り注いだ場合、部屋に熱がこもって暑くなってしまう可能性もあるため、採光性の調整が難しいところです。
気候条件の良い春・秋の日差しは心地良いものの、夏場の日差しは室温上昇の最たる原因であり、なおかつ冷房効率を低下させる可能性もあります。部屋の快適性が下がるだけではなく、電気代にも悪影響を与えてしまうため、あらかじめ注意しなければなりません。
また、光が入り過ぎると、単純に部屋が眩しくなるケースもあるので、カーテンやブラインドなどで調整する必要があります。
メンテナンスや掃除がしにくい
吹き抜けを作ると天井が高くなるので、天井付近のメンテナンスや掃除が難しくなります。特に天窓や高窓を設置した場合、窓ガラスや窓枠の汚れを掃除する際に手間がかかりがちです。
脚立を使って作業することは可能ですが、勾配天井の傾斜角度・天井高・窓の位置といった条件によっては、天井や窓の付近まで手が届かない可能性もあります。電球やシーリングファンのメンテナンスも難しく、状況によっては専門業者に作業を依頼しなければなりません。
また、年齢が若いうちは脚立での作業も苦になりませんが、高齢になると身体的な負担から作業が辛いと感じる可能性もあります。怪我のリスクも高まるため、無理は禁物です。
音やニオイが気になりやすい
吹き抜けで高くなった天井と通常の天井を比べた場合、音が気になりやすいのは前者です。吹き抜けを設けた部屋から他の部屋へと音が響きやすくなるため、テレビの音量や子どもの声に注意しなければなりません。
また、ニオイがこもりやすいことも吹き抜けのデメリットです。料理のニオイや室内干しの洗濯物のニオイが充満し、不快に感じるかもしれません。
嫌なニオイが衣類に付着してしまう可能性もあるため、何らかの対策が必要です。
平屋の吹き抜けで後悔しないためのコツ
CASE740 光とともに
平屋の吹き抜けを作るにあたり、以下のポイントを意識しておくことが後悔しないコツです。
・断熱性や遮熱性の高い素材を使う
・ファンやサーキュレーターを設置する
・メンテナンスのことも考慮に入れる
・音やニオイ対策をする
それぞれ詳細をまとめました。
断熱性や遮熱性の高い素材を使う
吹き抜けがある平屋は採光性や通風性に優れている反面、季節によって寒さや暑さを感じやすいというデメリットがあります。
しかし、建築にあたって断熱性や遮熱性の高い素材を使えば、外気温の影響を受けにくくなるため、室温を快適な状態に保つことが可能です。また、断熱性や遮熱性が高まると冷暖房効率もアップするので、電気代の節約にもつながります。
なお、吹き抜け部分に天窓や高窓を設ける場合、窓の位置や角度にも注意が必要です。日当たり・光の入り加減・風の出入口・周辺環境などを意識しつつ、窓をバランス良く設置しましょう。
ファンやサーキュレーターを設置する
通風性や通気性を高めるためには、吹き抜けや窓だけではなく、空調設備も活用する必要があります。例えば、シーリングファンやサーキュレーターを適切な場所に設置すれば、空気が循環しやすくなるため、暑さ対策や換気に効果的です。
冬もエアコンと一緒に使うことで、天井付近の暖かい空気を循環させやすくなります。床暖房を設置すれば、エアコンが効いてくるまでの時間も暖かく過ごせるため、より快適性が高まるでしょう。
メンテナンスのことも考慮に入れる
平屋に吹き抜けを作る場合、メンテナンスのしやすさも念頭に置いて設計することが大切です。メンテナンス性が低いと、余計な手間がかかってしまうだけではなく、自分だけだと掃除や交換ができなくなる可能性もあります。
メンテナンスの手間を省くためには、以下のような対策が有効です。
・照明には手が届きやすいペンダントライトを採用する
・手が届く範囲まで降ろせる電動昇降式の証明を採用する
・寿命が長いLED照明を採用する
・脚立でカバーできる高さの壁面に高窓を設置する
・吹き抜けに沿ってメンテナンス用のキャットウォークを作る
また、持ち手が伸縮するモップやワイパーなど、高所まで届く掃除アイテムを用意するのも一案です。
音やニオイ対策をする
先述の通り、吹き抜けを作ると音やニオイが伝わりやすくなるので、設計時点で対策を講じる必要があります。
例えば、以下のような対策が効果的です。
・吹き抜けのある部屋から寝室や書斎を離す
・吹き抜けと他の部屋を廊下で仕切る
・静寂を求める部屋に防音パネルを設置する
・リビングの部分だけ吹き抜けを設ける
・キッチンの換気扇の位置に配慮する
・キッチンとリビングの間にドア・壁を設置する
特に間取りは工事が始まると変更しにくいので、じっくり検討しましょう。
吹き抜けのある平屋の建築実例
ここまで解説してきた内容を踏まえつつ、最後にフリーダムアーキテクツが手掛けた吹き抜けのある平屋の建築実例をいくつか紹介します。設計プランを考えるにあたり、ぜひ参考にしてください。
明るい自然光が差し込む平屋の大空間
CASE671 実りの平屋
石の壁がアクセントのLDKを高天井にすることで、吹き抜けのような開放感のある空間を実現しています。
また、LDKはハイサイドライト(高窓)から自然光が差し込むため、採光性に優れていることも特徴です。LDKの照明にはダウンライトを使わず、柔らかな光で照らす間接照明を取り入れています。
中庭から光と風を採り込むリビング
CASE740 光とともに
こちらの平屋では、LDKに面した中庭から光と風を採り込むことで、採光性と通風性を高めています。
LDKにトップライト(天窓)を設けているため、日中は明るい光が降り注ぐことも強みです。さらに、プライバシー性の向上に配慮しているので、開放的でありながら外からの視線が気にならない空間を実現しています。
また、段差を極力なくしたり、間取りで回遊動線を描いたりするなど、バリアフリー性にも優れた平屋です。
通り土間と勾配天井が視覚的な広さを演出
CASE622 fit
住宅密集地に馴染むボリューム・デザインで設計された平屋です。通り土間・勾配天井・トップライトを採用することにより、光と風が抜けやすい構造になっているので、室内の快適性が向上しています。
また、通り土間とアプローチに面して大開口を設けていることも特徴です。見た目以上の広さを演出しており、開放感のある空間に仕上がっています。
スキップフロアで空間に広がりを持たせた平屋
CASE719 Flat foam
白を基調とするシンプルな外観の平屋です。リビングから廊下なしで各部屋につながる間取りを採用しつつ、スキップフロアで空間に上下の広がりを持たせています。
CASE719 Flat foam
吹き抜けの天井の高さの違いを活用して間接照明を設置し、空間全体を柔らかく照らしました。
コンパクトな敷地を感じさせない伸びやかな空間
CASE447 CASA Oltremare
サイズが異なる2つの中庭を備え、勾配天井で縦方向に空間を広げたリビングを設けることで、より開放的な空間を実現しています。
また、視覚的な広さを演出する大開口窓や勾配天井を活かしたロフトなど、空間に広がりを持たせる工夫を凝らしているため、コンパクトな敷地に建てられていることを忘れそうな住宅です。
吹き抜けのある平屋の建築実例については、こちらのページでも紹介しています。
フリーダムの注文住宅 「吹き抜け」人気ランキングベスト10 2024年度版
吹き抜けで平屋に開放感をもたせよう
勾配天井を使って平屋に吹き抜けを設けることで、図面以上に広がりのあるダイナミックな空間を実現できます。開放感はもちろん、採光性や通風性もアップするため、住宅性能を重視する方でも吹き抜けは検討価値が高い選択肢です。
今回の記事で伝えたメリット・デメリットや後悔しないためのコツを踏まえつつ、納得のいく吹き抜けを作りましょう。
平屋住宅の建て方に関しては、以下の記事を参考にしてください。
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この記事を書いた人
FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。